前回のブログでは、断薬した後に睡眠がどのように変化したかを書きました。
訓練工場に出業するようになって9日目、審査会というものがありました。
審査会は役職が高い刑務官7人との面談です。とても緊張しました。この審査会には、以前ブログに書いた「人生には3つの坂がある」という話をしてくださった統括もいます。
この面談ではボロクソに言われました。優しい言葉は一切ありません。
まず夫のことや、IQテストと学力テストを踏まえての話をされます。この時点で涙がぽろぽろ出てきます。
「初めての受刑で刑務所に来てどう思いましたか。色んな人が居るでしょう。」
そのあとはっきりこう言われました。
「今のままだとあなたはまたここに戻ってくることになる。それでもいいんですか?」
今までの私の怠惰な人生を、他人にすがって生きてきた様を、逃げ癖やすぐに物事を投げ出す癖を、すべて見透かされた気がしました。
“そんな姿勢で人生を歩むとまたここに戻ってくるよ”、そう言われている気がしました。
これも何度も書いていますが、多くの受刑者を見てきた刑務官の言葉は、本当に重いのです。
面談と作業を終え、居室に戻って考えます。
立川拘置所で自分の人生を振り返るという作業をずっとやってきました。なんで私は受刑者になったんだろう?少しずつ人生をさかのぼって、見たくもない過去と向き合ってきました。
自分を見つめる作業を続けていくと、自分の弱点が明確になります。統括の言葉でその弱点を改めて思い知らされるのです。
昨日の話になりますが、私はとある資格試験を受けに行きました。この試験、実は1回落ちていて2回目の挑戦です。
1発で受かるに越したことはないかもしれませんが、落ちたことで見えてきたものがあります。
昔の私だったら、1回目に落ちた時点で「もういいや面倒くさい」と諦めていたと思います。
自分の選択とやり方に問題があるのに、これで大丈夫だろうと安易に考えてしまったり。自分の力不足を他人のせいにしてしまったり。
「落ちたことで見えてきたものがある」と考えられるようになったのは、刑務所で過ごしたおかげです。落ちたことで見えてくる景色があるのです。
1発で受かっていたら、その弱点に気付かなかったでしょう。
私は出所後の現在も、過去を振り返って自分の弱点を見つめなおす作業を続けています。
そうすることで社会生活で上手くいかなかったときでも、自分の弱点や問題を素直に認めて、受け入れることができるようになります。
もし受刑中に過去を見つめなおす作業をしていなかったら、どうなっていたでしょう……?
どんな場所にいても問題に向き合い、改善する努力を続けていくことが大切だと思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。