Column

被害者とどう向き合うか?

依存症者の家族

前回のブログでは前科者座談会をなぜ開いているのか、その理由について書きました。

今日のブログは自戒を込めて書いていきます。

 

前科者の方へ。
今現在、被害者とどのように向き合っていますか?

 

 

これに即答できる前科者の方、いらっしゃるでしょうか?

「自分は覚醒剤だから被害者は居ません」
「自分は大麻だから被害者は居ません」

と主張する方がいらっしゃると思いますが、あなたの家族やパートナーが一番の被害者です。

 

被害者のいない犯罪などありません。私はそう考えます。

 

犯罪被害者の方とお話をする機会がありました。

 

 

その方のお名前をブログ上ではMさんとしますが、どんな犯罪の被害者かはここでは伏せさせていただきます。

 

Mさんは犯罪被害者として、様々な活動をされています。

その活動をすることでフラッシュバックが起きたり、体調を崩されることもあります。

Mさんは加害者と対話することを、長年続けていらっしゃいます。

 

 

想像してみてください。

 

 

あなたが詐欺事件に巻き込まれ、コツコツ貯めてきたお金をだまし取られたとします。

事件後は人が信じられなくなり、騙された自分を責め、電話が鳴る度に「また詐欺の電話では?」と怯え、疑心暗鬼な日々を送ります。

怪我こそしなかったけれど、何気ないきっかけで被害の記憶は呼び起こされます。

一生忘れることなんてできない。

そんな中、あなたのお金を直接だまし取った犯人ではないけれど、詐欺犯と対話をしてみませんか?と打診が来たとします。

あなたなら、どうしますか?

 

 

 

殺人罪でも教育が行われない

 

 

私が栃木刑務所の釈放前指導で一緒になった、殺人で服役していた受刑者のお話です。

こちらも事件の内容は伏せますが、殺害方法はかなり残忍でした。

それでも彼女が仮釈放の対象になったのは、受刑態度が良く、更生の見込みがあると判断されたからだと思います。

彼女とは出所後に定期的に連絡を取り、食事に行ったり、必ず更生していこうと語り合った仲です。

たわいもない会話の中で、彼女に質問します。

「殺人だと教育はどんなことをやった?講師を招いたりするの?」

罪名は殺人です。

命の尊さ、残された家族について、贖罪とは、そういった教育をやるだろうと勝手に想像していた私は、彼女の答えに驚きました。

「なんにもなかったよ」

 

それを聞いて、「刑務所は罪人を閉じ込めておくだけの場所なんだ」と思いました。

閉じ込めるだけで更生するの?刑務所で刑期を過ごすことが更生なの?

二度と同じ過ちを繰り返さないために、矯正教育をする場所じゃないの?

殺人でも教育が行われないなんて、そんなの絶対におかしい!

私は薬物依存からギャンブル依存、窃盗に走った。罪名は窃盗だけれど、根本には薬物依存がある。

私が更生するには薬物依存へのアプローチをしないと、また窃盗をする、または違法薬物使用で刑務所へ戻る可能性は大きい。

そんなこと、法務省は(刑務所側は)調書を見れば分かるはずなんです。

受刑中、依存症についての教育は一切行われませんでした。当然窃盗の(クレプトマニアの)教育もありません。

刑務所がやらないのなら独学で学ぶしかない。

依存症やパーソナリティ障害について書かれている官本を(刑務所内の図書館にある本)、片っ端から借りて勉強しました。

私は刑務所の教育について、受刑中から大きな疑問を持っていました。

ほかにも理由がありますが、それについては街録chで話をしているので、ぜひ観ていただければと思います。

 

 

 

被害者の情報を知ることは出来ない

 

 

殺人で服役していた女性は、釈放前指導で「被害者のお墓参りに行きたい」と申し出たそうですが、その願いは受け入れてもらえませんでした。

仮釈放時に遵守事項といって、仮釈放中に守らなければならないことが書いてある用紙を渡されます。

遵守事項を破れば仮釈放は取り消され、刑務所に逆戻りです。

この遵守事項と、受刑者各々内容の違う特別遵守事項というものがあります。

私の場合は「仕事を探す、または就労すること」でしたが、殺人を犯した彼女の特別遵守事項は「被害者家族に一切接触しないこと」でした。

刑務官からはお墓参りも行ってはいけないと言われたそうです。

 

では特別遵守事項の縛りがなくなり、満期を過ぎれば被害者家族と接触しても良いのか?

こちらも賛否が分かれると思いますが、私が家族側だったら来てほしくないと思うでしょう。

中には謝罪に来て欲しい、お線香をあげてほしいと思う方もいらっしゃるかも知れません。

それを確認するには、弁護士を通じて連絡を取る以外、方法はありません。

この措置は妥当であり、当然のことだと思います。

守られるべきは、被害者とそのご家族、関係者です。

 

 

 

被害者のその後を知らない加害者がほとんど、という現状

法務省は、加害者である受刑者に対し、

・被害者や被害者家族がどのように過ごしているか
・被害後どのようなことに苦しみ、困っているか
・実生活にどのような支障が出ているのか

更生のために、再犯しないために、被害者の現状を知らせる必要があるのではないでしょうか。

Mさんのお話を聞き、今日で満期から1,261日が経過した私も、いつの間にか加害者であることを棚上げして毎日を生きていることに気付かされました。

上手く言語化できないのですが、毎日被害者のために生きなくてはならないとか、片時も忘れてはいけないとか、そういうことを言いたいのではありません。

刑期は満了していますが、だからと言って自分のやってきたことがチャラになるのでしょうか。

 

加害者よりも、被害者の方が何百倍も何千倍も、苦しいし辛い。

被害者のことを頭の片隅に置いて、

出所はゴールじゃなくスタートだよ!
元受刑者でも必ずやり直せるよ!
逃げてもいいけど決して投げ出さない!

と発信している私は、

一体何を見て、感じて、そう思ったんだろう。

被害者の存在を意識しているようで、していなかったんじゃない?

被害者をおざなりにしていたんじゃないか?

Mさんとお話をした帰り道、自分の思慮の浅さを思い知ったのです。

 

 

 

更生に必要なものは?

「反省しています」という思いや言葉は、自分の家族や支えてくれるパートナーに向いていることがほとんどだと思います。

これは私を含め、刑に服したばかりのころは特にです。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

被害者がどのような生活を送っているかを知る機会もなく、
法務省は被害者には触れたがらず、
受刑者を刑期の間ただただ閉じ込めているだけで、
罪名や生い立ちに沿った教育がなされていないから、

被害者に対する気持ちが生まれにくい、想像しにくいのではないかと思うのです。

 

更生には、受刑者本人の意思はもちろんですが、そのご家族や友人の協力、国民の関心、そして被害者や被害者家族が被害後をどのように生きているのかを知る、

この全てが必要なのではないでしょうか。

 

 

 

前科者の皆さん、被害者について
一緒に考えていきませんか?

 

 

前科者が社会で生きるのは、とても辛いです。

前科がバレれば白い目で見られ、会社は解雇され、事件によってはデジタルタトゥーが刻まれ、人が離れ、もしかしたらその土地に居られなくなるかも知れません。

 

自分が犯した罪はすぐ後ろからついてきます。影のように一生ついてきます。

 

 

被害者も同じように、被害を受けたことが一生ついてきます。

被害者の実名報道がされれば、やはりデジタルタトゥーとして残り続けます。何も悪いことはしていないのに、です。

われわれ前科者は、被害者のことをおざなりにしてはならないのです。

 

 

Mさんの手記を読み、たくさんのお話を聞いて、私のやるべきことがまた一つ見えてきました。

これから少しずつ形にしていきます。

 

 

面接試験、無事終了です!

こちら、何の試験かはまだTwitterでもアメブロでもお知らせしていません。

4月17日(月)の合格発表後にお知らせできればと思います。受かっていれば!

 

コミュニケーションが上手く取れない人は、人の話を聞くのが苦手

コミュニケーションを上手く取れない人は、実は聞くことが苦手な人が多いです。

コミュニケーションが上手く取れないから、笑いを取ろうとしてデリカシーのない発言をしてしまう人もいます。

上記のツイートは、出所したばかりで周囲の人が完璧に見えていたころの実話です。

 

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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