前回のブログでは夫にASDとADHD傾向があることについて書きました。
たくさんのコメントをいただきました。どうもありがとうございます。
不仲のように感じさせてしまったかも知れませんが、夫婦仲は良いです。喧嘩も滅多にしません。
私たちは一般的な夫婦ではありません。犯罪とは一切無縁の夫と前科者の妻です。
これからも問題は起きると思いますが、その都度お互いに成長できればいいなと思います。
性とこころ関連学会
7月8日(土)に池袋で開催された、性とこころ関連問題学会に参加しました。
私も仲間も内容の濃さに大満足、こんなに情報をいただいて良いんですか!?と思うほどです。
私が立川拘置所に収監されていたときに出会った本、依存症。著者は信田さよ子さんです。
まだ読んだことのない方は必読です。発売は2000年と古いのですが、依存症について難しい言葉を一切使わず誰でも分かるように書かれています。
アダルトチルドレン・毒親・サバイバーという言葉や、依存症は意志の弱い人がなるものではないと理解できたのはこの本のおかげです。
あのころの私にとって信田さよ子さんの著書は希望でした。書いてある内容を丸々写した手紙を夫に出したこともあります。
著者が目の前に居る感動。アフターコロナと共に足を動かし行動することがモチベーションに繋がると、学会に参加し実感しています。
今日のブログは学会を通して皆さんに知っていただきたいと思ったこと、私が勝手に思い込んでいたこと(バイアス)をシェアさせてください。
※ここから先は性的な言葉や表現、あなたにとって目を背けたくなる内容が目に入るかも知れません。性的なことにトラウマがあったり、フラッシュバックが起きそうな方はこのままブログを閉じてください。
斉藤章佳先生は加害者臨床を研究されています
斉藤章佳先生は大船榎本クリニックで精神保健福祉部長として、依存症者の回復プログラムを実践しながら性加害者臨床の研究をされています。
私は何回か大船榎本クリニックにお邪魔しています。私自身の体験を依存症者の皆さんの前でお話させていただいたこともあります。
加害者臨床と言うと「加害者を擁護している!」とお叱りを受けることがあると先生は仰っていますが、決して加害者の肩を持っているわけではありません。
被害者を減らすには、加害者がどのような認知で罪を犯したのかを知る必要があります。そうしないと予防や防止ができません。
斉藤先生の著書を過去ブログでも何冊か紹介させていただきましたが、最後にまとめて紹介します。
斉藤先生の著書は老若男女ジェンダー関係なく、ぜひ手に取っていただきたいです。
これまでの日本で当たり前とされてきた事柄が誰に植え付けられたものか、学び直すきっかけになると思います。
小児性愛という病-それは、愛ではない より
「セックスもしましたよ…愛し合っているなら当然のことでしょう?それを周りの人たちがぶち壊したんです、私がロリコンだって…」
12歳の少女に性加害をした49歳の男はそう言った。
少女はその後、精神的・身体的バランスを著しく崩した。
斉藤先生の著書の帯、衝撃的ですね。12歳の少女に性加害をした49歳男性の言葉です。
先生の講演を聞いて幼少期の性被害を思い出しました。湯浅は性被害を受けてるの!?と思った方はこちらのブログをご一読ください。↓
ジャニー喜多川氏の性加害も取り上げられました。
ここで皆さんに知っていただきたいのはグルーミングです。
※グルーミングとは性交やわいせつ行為などの性的虐待を目的として、未成年の子どもと親しくなり、信頼など感情的なつながりを築き、手なずけ、時にはその家族とも感情的なつながりを築き、子どもの性的虐待への抵抗・妨害を低下させることです。(Wikipediaより)
私を気持ちよくしてくれたおじさんは、私に対して明らかなグルーミングをしていたんですよね。
私はグルーミングを優しさだと勘違いしました。実際は手懐けられた、マインドコントロール状態にあったと思います。
私が受けた性被害に書いたこの言葉に、グルーミングが集約されていると思います。
「嫌なことはしない、気持ちいいことをしてあげているんだよ」、こんな事を言われ続けた記憶があります。
現在の私は幼少期の性被害は自認しても、グルーミングをされているとは思っていませんでした。
〇私を加害したおじさん→
これは君にとって嫌なことではないんだよ?ほら、気持ちいいよね?
〇幼少期の私→
嫌じゃない、そうかな、でも気持ちいい、そうかもしれない、きっとそうなんだ
こんな感じで上手く言いくるめられたことがグルーミングだったのか……。
ジャニー喜多川氏の問題でグルーミングというワードが一気に広がりましたが、性被害を受けたことがある私でもグルーミングがどんなものか詳しく知りませんでした。
このブログを読んでくださる小さなお子さんやお孫さんを持つ方には特に、私が勘違いしていたグルーミングについて正しい知識を持っていただきたいです。
小児性愛障害(ペドフィリア)は異性にだけ関心を持つわけではない
子どもに性的な関心を持つ人は男性では人口の5%(女性は1~3%)、その対象は異性・同性どちらもある
自分が受けた性被害と同じで、男性は女の子に加害するものだよね。
私が勝手に思い込んでいたことの一つです。
男性が女の子、女性が男の子だけに関心を持つとは限りませんよね。
これから夏休みです。ご家族やお友達で海、プールへ行く機会があると思います。
うちは男の子だから大丈夫!という誤った思い込みは捨て、トイレに一人で行かせないなど自衛をする必要があると思います。
身体の一部や物の挿入も性交扱いになります
性犯罪の刑法が改正されます。刑法性犯罪規定(改正ポイント)は以下です。
1 「不同意性交等罪」を創設
2 性交同意年齢の引き上げ
3 「性的グルーミング」を処罰対象に
4 公訴時効の5年延長
5 身体の一部や物の挿入も「性交」扱いに
6 「撮影罪」の新設(※新法で規定)
※附帯決議あり
何をもって「性交」とするかが明確になりました。
口腔内に性器を入れることも性交扱いになります。
膣や肛門に物を挿入することも性交扱いになります。
射精道の著者、今井伸先生のお話から
少子化問題と共に不妊治療を受ける人が増えているのは、ネットでもテレビでも頻繁に取り上げられています。
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を、国が助成しています。
私は不妊治療について勝手な思い込みをしていました。
女性の不妊症が昔より増えたんだろうけど、男性の無精子症が目に見えるようになった、増えてきたんだろうな、と。
射精道の著者、今井先生のお話を聞いて本当に驚きました。
膣内射精ができない男性が増えていると言うのです。
不妊治療では精液にどのくらいの精子が存在するか確かめるため、病院でマスターベーションをしてもらい精子を調べますが、マスターベーションができない男性が居る。
その理由を聞くと、床や壁に性器をこすり付けて自慰行為をする、いわゆる床オナニーや壁オナニーをやってきたから手を使った自慰行為ができないそうです。
床や壁といった固いところに半勃起状態の性器をこすり付けて射精することを床オナや壁オナと呼ぶそうですが、長年床オナニーや壁オナニーを続けていると半勃起しかしないそうなんです。
半勃起状態では膣の中に挿入することが難しい。
挿入できても膣は床や壁のように固くはないですから、射精ができずに射精したと配偶者に演技を続けていた男性も居るそうです。
にわかには信じがたいお話でしたが、日本の性教育がいかに遅れているかを知ることができたと思います。
自慰行為やセックスの方法を皆さんは何で学びましたか?
AV、成人雑誌が主だと思うのです。
AVのプレイをそのまま彼女にしてしまいフラれた、という友人の話を聞いたことがあります。
AVが模範的なセックスだと勘違いさせてしまう、日本の閉鎖的な性教育に疑問を感じます。
女性の潮吹き=オーガズムと勘違いしている男性が居ますが関係ありません。これもAVの影響が大きいと思います。
初潮を迎えるころに男女で分かれて体の仕組みは学んでも、自慰やセックスの方法を教えない。
その弊害が「膣内射精ができない不妊」という形で表面化している。
本気で性教育を変えないとこれからもっと少子化は進んでいくだろうなと、今井先生のお話を聞いて感じました。
家族内の近親姦、性加害と被害
信田さよ子さん、新生児科医/小児科医の今西洋介先生が近親姦についてそれぞれの立場でお話をされました。
近親姦は皆さんが思っているより多く日常的に存在します。碧の森を始めてたった2年ですが、家族内の性被害についてお話される相談者さんは多いです。
今西先生が担当された患者さんの事例は、聞きながら思わず顔をしかめる内容でした。
・3歳の女児のおりものの色がおかしいと母親と女児が来院。調べると膣炎、抗生物質で一旦良くなるも再度膣炎で来院。後に父親がプラスチックを膣に挿入していた事実が発覚。
・脳性麻痺の14歳の女の子が初潮を迎えたがしばらくして無月経が続き来院。妊娠検査をしたところ陽性、父親を調べると12歳の弟と判明。両親ともに薄々気付いていたが何も対処ができなかった。
信田さよ子さんのお話では性虐待には段階があるそうです。
・軽度は言葉によるもの(胸がでかくなったや良い尻をしている等)、AVやアダルト雑誌を見せること
・中等度は性器以外を触る
・重度は性器を見せる、触らせる、触る
近親姦がある家族は加害者が社会的に成功している場合が多いそうですが、私も同じことを感じています。
意図せず素っ裸で歩くお父さんは今の時代もいると思います。お母さんも然りです。
それを子どもが「いやだ!」と思えば性虐待になります。
たくさんの気付きがありました
所有と愛は同じではない、知識を持つことと理解は違う、家族間の性被害はプライバシーと言う名のもとに隠蔽されてきた、このように仰ったのは信田さよ子さんです。
性被害者であり性加害をした方からの質問に、斉藤先生はこのように答えました。
加害と被害のカミングアウトは違う、被害については癒される必要があるし、被害者の「Why me?(なぜ私だったの?)」に対して答えられるのは加害者しかいない。
この言葉は痛かったです。グサッと刺さりました。
私で例えていきます。
被害店舗が「なんでうちの店で盗んだの?」と私に直接質問したとします。私には答える義務があると思っています。
薬でわけが分からなくなってスリルを得たくて盗みました。スリルを味わいたかった理由は結婚生活がつまらなかったからです。
今は明確に動機を答えられるけれど、被害店舗に正直に伝える勇気はありません。
「そんなくだらない理由で……」と誰もが思うでしょう。どんな理由も犯罪を犯していい免罪符にはなりませんし、許されません。
誰にも相談できない状況に「しない」
・子どもがギャンブルで闇金に借金をしているなんて言えない
・旦那がアルコール依存症だなんて恥ずかしくて言えない
・窃盗を繰り返す子どもがいるなんてご近所に絶対に知られたくない
・前科者の子どもがいるなんて誰にも言えない
どれも「我が家の末代までの恥」じゃないですが、ご家族はとことん隠したがるので問題が表面化しません。
表面化しないと治療や更生に結び付きません。堂々巡りで悪循環に陥り、共依存バリバリになり周囲が見えなくなります。
これが「性」の問題となるともっと表に出てこない、深刻になればなるほど身体的にも精神的にも傷が深くなります。
孤独にならない、孤立しない、相談できる場所があることを知る、調べるスキルを身に着ける、実際に行動へ移す、これらは本当に大切です。
今日も長くなってしまいましたが、最後に先生方の著書とTwitterを紹介して終わります。
斉藤章佳 先生
信田さよ子さん
https://twitter.com/sayokonobuta?s=20
今井伸 先生
今西洋介 先生
https://twitter.com/doctor_nw?s=20
性とこころ関連学会は来年6月に第13回が開催されます。私は来年も参加したいと思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。
最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。