Column

支える側の心、受刑者と依存症者知らず

コラム

前回のブログでは、人と自分の境界線について書きました。

今日は2年前に書いたブログと被ります。私のブログをずっと読んでくださっている皆さんは、改めて読んでいただけると幸いです。

ブログのタイトルは「支える側の心、受刑者と依存症者知らず」ですが、「親の心、子知らず」を捩って(もじって)みました。

再犯するも更生するも、本人次第

刑務所から出所した元受刑者が、

・更生するか?
・一生懸命働くか?
・再犯するか?
・怠惰な生活を送るか?
・無職のまま生活するか?

これらは親も、きょうだいも、夫も、妻も、彼氏も、彼女も、親友も、友人も、誰にもコントロールが出来ません。

本人が決めること、本人が選ぶ人生です。

更生してほしい、働いてほしい、真面目に生きてほしい。

そう強く願うのは周囲の支える側の人たちですが、残念ながら“思う通りに動いてくれない”のが元受刑者です。

なんで真面目にやってくれないの?なんでそんなに自分勝手なの?

と、支える側は思います。
せっかく出所したのに……。自由なのに……。やっと毎日一緒に居られるのに……。

どうして私の(俺の)ことを考えてくれないの?真面目に生きようとしないの?

今までこんなに待ったのに……。支えてきたのに……。

私が(俺が)これまで待っていた時間は、一体何だったんだろう?

無駄だった……?いや、そんなこと思いたくない。
悲しい、辛い……。なぜ真面目に生きてくれないの?

支援側の気持ちは、なかなか本人には届きません。

 

本人が服役中、または依存行為に耽溺中、あなたはどんな支援をしましたか?

 

刑務所で反省するもしないも、本人次第です。

「会いたい」、「身体が心配」、「好きだから」、という理由で、中の人を甘やかしていませんか?

・欲しいと言われた物を、全て差し入れる。
・更生や反省に関係のないおねだりを聞いてあげる。
・面会に言われるがままに通う。

きっと、あなたはそれで満足すると思います。

「私は(俺は)あの人の役に立っている」、「私は(俺は)あの人に必要とされている」と感じることが出来るから。

それはあなたのエゴ(我儘)ではありませんか?

今一度、どんな想いで受刑者や依存症者と接しているか、立ち止まって考えてみてください。

依存症者や受刑者に必要以上の世話を焼くのは、「この人に自分が必要とされている」、「私が(俺が)居なくなったらこの人は生きて行けない」、そんな思いからではありませんか?

甘やかされた側の立場に、立ってみてください。

 

例えば、更生や反省に関係のない本を刑務所で読んで、出所後、一体何の役に立つでしょう?

これは私の実体験です。
栃木刑務所に服役していた頃、サーティーワンのメニューやグルメ雑誌、るるぶなどの旅雑誌を差し入れされている累犯がいました。

私はいつもこう思っていました。
「今刑務所に居ることから目を背けて、現実逃避したいんだな。」

旅行雑誌やグルメ雑誌を差し入れして貰っている累犯に、直接聞いたことがあります。

「なんでそういう雑誌を差し入れして貰うの?行けないし食べられないから、見ているだけだとフラストレーションが溜まるだけでしょ?」、すると大体こんな答えが返ってきます。

「出所したら○○と行く」、「出所したら○○と食べに行く」、「唯一の楽しみだ」、など。

○○に入るのは、彼氏だったり、旦那さんだったり、子どもだったり様々ですが、私はそれを聞いて「夢や理想は、反省、更生して初めて語れるのでは?」、と思いながら聞いていました。

そういう人は圧倒的に累犯に多かった。

この意味、皆さん分かりますか?

甘やかしてばかりだと、刑務所へ舞い戻る確率は高くなります。

私がこのブログで一貫してお伝えしていること。それは「甘やかさない支援をしてください」、です。

見捨てろ!なんて言っていません。
面会に行くな!とも言っていません。
差し入れをするな!とも言っていません。
手紙を書くな!とも言っていません。

出所してからが、新たな人生のスタートなのです。

そのスタートへ向けた支援をせずに、出所後にまともな社会生活を送れると思いますか?

出所後どれだけ辛い現実が待っているのか、刑務所に居るうちに知ってもらう必要があるのです。

簡単に仕事が決まると思いますか?
簡単に悪友との人間関係が切れると思いますか?
これまで生きて来た生活の癖が、簡単に直ると思いますか?
受刑することで、これまでの性格や生活態度が、180度変化すると思いますか?

無理なんです。服役生活だけでは、何も変わらないのです。

あなたが決して甘やかさず、出所後を見据えた支援をしないと、本人の人生もあなたの人生も共倒れだよと、私はお伝えしたいのです。

甘やかすことは簡単、誰でも出来るのです

誰だって人に嫌われたくありません。

好かれたいから甘やかす、嫌われたくないから甘やかす、嫌われるのが怖いから厳しいことが言えない、心配だからつい甘やかす。

刑務所まで行ってしまった人に対して、これが正しい対応だと思われますか?

刑務所へ行くって、とんでもない事なのです。
とんでもない事をしでかしたから、刑務所へ行ったのです。

中の人も、外で待つ人も、その現実から目を逸らさないで、立ち向かってください。

現実逃避の先には、更なる現実逃避が待っているだけです。

いつまで経ってもその沼から抜け出せない。負のループは続きます。

それらを断ち切らせ、我に返らせることが出来るのは、外で待つ人にしか出来ないのです。

これが依存症当事者、服役経験者であり、今も更生を続けることが出来ている私の考え、意見です。

TRACKSリーグという自助グループへ参加してきました。

 

自助グループや家族会は、色んなところへ参加して良いのです。一ヶ所に決めなくてはならない、なんて決まりはありません。

もちろん精神科も、メンタルクリニックも、カウンセラーも、自分に合うところを探せば良いのです。

自助グループや家族会で、「他のグループに参加しようとすると嫌がられる」、または「他のグループに行くなと言われる」、という話を聞きます。

もしそういう事を言われたら、それはあなたを「囲おうとしている」だけなので、そのグループとは距離を置きましょう。

これは病院やカウンセラーにも同じことが言えます。

朝のウォーキング

朝日を浴びるって気持ちいいです!このあと家でヨガ。

汗をかくのは大っ嫌いですが、シャワーを浴びれるならOK(笑)

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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