前回のブログでは、長年依存行為から離れている私でも、簡単に欲求が湧くと書きました。
非常に興味深いコメントがありましたので、ご紹介します。
お酒なしの(ダルクさんの)食事会。
烏龍茶やジュース、お寿司、唐揚げ、ケーキ(アルコール使用なし)の立食形式の場で、気持ちだけがベロベロになってしまったことがあります。おそらくアルコールチェッカーで計ってもアルコールは検出しないのに、もうベロベロでした。きっと、パブロフの犬状態で、飲み会の雰囲気を脳みそが覚えていたんでしょうね。
たまたま同じビル内でアルコール依存症の自助会ミーティングがあったので クールダウン出来たのですが、それがなければ飲酒に走っていただろうと思います。
こちらのコメントはTwitterとFacebookでもお世話になっている、アルコール依存症から回復中のOKKUNさんです。
お酒ナシでも雰囲気でベロベロ
これ、非常に恐ろしいです。
お酒が入っていないのに、雰囲気で酔う。
お酒の味や飲んだときの感覚だけではなく、飲み会の雰囲気もしっかり脳に刻まれているんですよね。
OKKUNさんは“たまたま”とおっしゃっていますが、同じビルでアルコール依存症の自助会があったのは、真面目に断酒を続けているOKKUNさんにとって必然の出来事だったのではないかと感じます。
パブロフの犬ってそもそも何?
と思う方に向けて、簡単に説明します。
イワン・パブロフという人が発見したことからパブロフの犬と呼ばれていますが、正式名称はレスポンデント条件付けといいます。
ベルを鳴らしてから犬に餌をあげる行動を繰り返すと、犬がベルの音を聞くだけでよだれを垂らすようになります。
元々ベルの音で犬のよだれは出ませんが、ベルを鳴らしてから餌を出すのを続けることで、ベルが鳴れば餌が出るんだ!と条件付けられます。
日本では梅干しで例えることが多いです。
一度でも梅干しを食べたことのある人ならば、頭に思い浮かべるだけで唾液が出てくると思います。
OKKUNさんがお酒を飲んでいないのにベロベロになってしまった理由は、OKKUNさんの頭の中で、お酒と飲み会の雰囲気が条件付けられているからです。
前回のブログで、私は夜の歌舞伎町を一人で歩いただけで欲求が湧きました。
これは「夜の歌舞伎町」、「一人」、「ギャンブルと薬物」が条件付けられ、ギャンブルと薬物をやりたくなってしまったことになります。
梅干しを想像して、唾液が出ないように出来ますか?
唾液が出てくるだけなら、人様に迷惑を掛けることも、借金をすることも、逮捕されることもありません。
皆さんが梅干しを想像して唾液が出てしまうように、依存症者は依存行為や依存物質を絶対に忘れることはないのです。
梅干しを想像して唾液が出ないようにすること、出来ますか?
「梅干しを想像して唾液が出るお前は意志が弱い!」と言われても困ると思います。
忍耐や我慢で唾液を止められる人、いるでしょうか?
依存症を全く知らない相談者さんや、依存症に対して根性論で何とかしようとする人が居たら、私は上記のような説明します。
例えば、性依存の痴漢や盗撮を行う条件ですが、朝や夜のラッシュ時、同じ電車、出勤と退勤、通勤経路など、日常生活とリンクすることが非常に多いです。
生活リズムを変える、同じ電車や通勤経路を使わないなど、パターンを変える必要があります。
依存症の人の理解なんて出来ないし、自分は絶対に依存症にならない!そう思う方もいらっしゃるでしょう。
人との付き合い、ストレス、コンプレックス、そういったもので簡単に一線を越えてしまうのが依存症の世界だと、私は思っています。
条件付けられるからと言って、依存行為や行動を正当化するつもりは一切ありません。
依存症者を支援する側の方には、まず基本的な知識として、依存から回復することがどれだけ大変かを知っていただきたいです。
更生とは?
9月18日(日)、相談者さんと新藤さんの教会へ行ってきました。
罪友恒例記念撮影。依存も受刑も全く関係の無い方と行ってきました😊 弁護士の先生がいらして、元ヤクザでも口座が作れたり、元受刑者でもローンが通るよう活動をされている方でした。 元ヤクザのYさんからお話を伺った所、Yさんの情報は国税庁… https://t.co/19GMWLtMwB
罪友教会には元ヤクザ、元受刑者、前科者、警察のお世話になった人、そのご家族、待ち人さんがたくさん訪れます。
過去に何があろうとも、刺青がびっしり入っていても、指が何本も無くても、今を一生懸命生きる人が集まる、それが罪友教会です。
18日はとある雑誌の記者さん、弁護士さんもいらっしゃいました。
皆さん知っていますか?元ヤクザは(反社会勢力とみなされた場合は)、銀行口座を作ることが出来ません。
この日いらした弁護士さんは、「元ヤクザでも足を洗い、しっかり更生している人」が、銀行口座を作れるよう活動されている方でした。
元ヤクザのYさんが切実に訴えていました。
「今どき給料が手渡しの会社なんて無い。自分の場合は金融庁まで(元ヤクザだと)情報が行っているから、仮に金融庁がOKを出しても、その情報を知っている銀行がOKするとは思えない」
(ツイートは国税庁となっていますが、金融庁の間違いです。失礼いたしました。)
新藤さんはYさんの仕事ぶりを、「よくあんなに出来る、本当に凄いと思う」と言います。
Yさんが重機を動かす動画を見たことがありますが、その姿は生き生きしていて、心から真人間になって働いているんだと感じました。
でも、銀行口座が作れない
銀行口座がないのは、生活するのに物凄く不便です。
電気・水道・ガスなどのライフラインの引き落としが出来ないのはもちろんですが、社会復帰して就職出来たとしても、会社側から「なぜ銀行口座を作れないの?」と聞かれれば、答えに困ってしまいます。
元ヤクザでも元受刑者でも雇用しますという会社なら、給料の手渡し含め、ある程度の融通が利くかもしれません。
礼拝に居た元受刑者のZさんは、ローンが通らないと言っていました。
社会復帰をしようとしても、復帰や更生を阻むものが多すぎるのは、更生への道を閉ざすことになると感じました。
そのことで自暴自棄になり、また犯罪に手を染めることもあるでしょう。
犯罪とは無縁な生活を送ってこられた方からすれば、そんなリスクは当たり前、分かっていてその世界に飛び込んだんだろ?自業自得だろ?
このような意見の方がいるのも分かります。
刑務所に閉じ込めるだけでは更生にならない
大きな事件があった後のTwitterやYahooのコメント欄は、辛辣です。
「一生閉じ込めておけ!」
「こんなやつ死刑にしろ!」
「早く刑務所へぶち込め!」
こんなコメントが散見されます。
刑務所が誰のお金で、どんな運営がなされ、どのような教育がされているか、全て知った上でこのようなコメントをしているの?と私は思ってしまいます。
納税者ほど、刑務所でどんな教育が行われているか、受刑者一人に年間で一体いくらのお金が使われているか、もっと積極的に知るべきです。
死刑ではない限り、その人は外に出てきます。
出所したら、あなたの家の隣に住むかもしれません。一緒の職場で働くかもしれません。
上記のようなコメントを書く方は、対岸の火事のように「閉じ込めろ」と言うけれど、閉じ込めるだけで犯罪者が更生できると思っているのでしょうか。
刑務所はあなた方の税金で運営されています。だからどんな教育がされているか知ってほしい。
どんな教育をされているか知らないから、安易に「刑務所へ入ってろ!」と言える。
刑務所運営や犯罪者の更生に何の興味も無いから、そういうことを軽々しく書けるんだろうなと私は感じてしまいます。
TwitterやYahooのコメント欄に辛辣なことを書く人が想像しているような矯正教育は、残念ながら行われていません。
ただ放り込むだけでは、臭いものに蓋をするだけです。
本当の更生は「甦り」
私は、刑務所へ行って本当に良かったと思っています。
刑務所で心を入れ替えることが出来た、入れ替えるような支援を夫にしてもらうことが出来ました。
そして、新藤さんの講話を聞くことも出来ました。
刑務所では素晴らしい先生方(刑務官)と、出会うことが出来ました。
今となっては、
幼少期に性的いたずらや両親から虐待を受けたことも、
高校生で覚醒剤に手を出して援助交際をしたことも、
夜の仕事や風俗で働いたことも、
全身に刺青を入れてしまったことも、
あらゆる依存症になったことも、
夫と結婚したことも、
何度も逮捕されたことも、
刑務所へ行ったことも、
母の死に目に会えなかったことも、
「全て私のために用意されていたシナリオ」のように感じています。
どれかが欠けていても、今の私にはなれなかった。
今の私になれなかったということは、たくさんの人たちと出会うことも無かったし、碧の森を始めることもなかった。
すべての出来事は、私にとって通過点だったと思います。
そして今、産業カウンセラーの筆記試験に落ち続けていることも、新たな資格試験に挑戦していることも、人と人を繋げることも、受刑者に手紙を書くことも、未来の私から見ればきっと何かしらの“通過点”になると信じています。
刑務所へ行って、私は生まれ変わることが出来ました。
この経験をアウトプットし続けるのも、私の更生の一環だと思っています。
更生する姿を見せ続ける
元ヤクザのYさんも、一生懸命働く姿を見せ続け、同じように困っている人と草の根運動をしていけば、いつか銀行口座が作れるようになるかもしれません。
信用を失った人間は、実績を積み重ねて行くしかありません。
積み重ねたところで、信用が戻ってくるとも限りません。
とにかく、続ける。
誰が見ていなくても、続ける。
何を言われても、諦めない。
更生の姿勢を持ち続ける元受刑者や元ヤクザには、チャンスを与えてほしいなと思います。
進藤さんの説教はこちらです。
犯罪とは全く無縁の方も、新藤さんの生きた言葉を、ぜひ聞いてください。
お金配り系のツイートは無視!
お金配り系をRTしている人、気を付けなはれや!!! これ系をRTしている人は、上手い話には裏があるなんて微塵も想像しない綺麗な心の持ち主とも言えるけど、無知がゆえに身を滅ぼすことも知って欲しいです。 https://t.co/avTV8hY5SF
こちらは注意喚起です。最近の詐欺は非常に巧妙になっています。
以前も似たようなツイートをした事がありますが、本当にお金を持っている人はお金配りなんてしませんし、儲かる方法を他人に教えたりしません。
無知は罪です。騙す方が一番悪いですが、そういう人やモノ、場所に近付かない。
情報を見極める力を養い、自分の身は自分で守りましょう。
こちら、良書です
進藤さんからおススメされたこちらの本。
ここに登場する人たちは、今ならば児童相談へ通報されていたであろうケースが殆どです。
興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。
最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。


