Column

適切な面会数と手紙の書き方

拘置所・刑務所

前回のブログでは、夜の仕事で汚い大人をたくさん見て、いつの間にか自分も汚い大人になっていたと書きました。

今日は1年前に書いたブログを再掲します。そのまま再掲ではサボりですから、現在の私が思うことを追記していきます。

 

適切な面会数と手紙

 

新しいフォロワーさんが増えてきましたので、ここで改めて手紙と面会の重要性について書いて行きます。

おととしの12月18日に、このようなブログを書きました。

まだ読まれていない方は、ぜひご一読お願いいたします。

これまで私のブログを読んでくださっている、受刑者のご家族と待ち人さんが、上記のブログの内容について、少し勘違いをされているように感じる出来事がありました。

このブログを書いて約2年が経過し、改めて依存症子の思う「適切な面会の回数」と「手紙の内容」について、解説していきます。

最近待ち人になった方、そのご家族、そして中の人にもこのブログが届くことを願います。

 

依存症子のパターン

 

夫は、私が刑に服する直前の留置場、その後移送された拘置所、立川拘置所、栃木刑務所と、一度も面会に来ることはありませんでした。

その理由を夫に直接聞きました。簡単に箇条書きで挙げていきます。

・さっさと刑務所へ行け!と思っていた(外で何をやらかすか分からないため)
・私に対する恨みと憎しみがあった
・永遠に帰って来るなと思っていた
・平日に仕事を休めない
・仮に仕事を休めても、長時間をかけて私に会いに行く価値が無い
・初犯のうちに厳しくしないと、必ず再犯を犯すと考えた
・出所後、自分で考え行動できる力を身につけて欲しい

↑これを読んで、皆さんどう思ったでしょうか。

・ひどい!と思いましたか?
・厳しすぎる!と思いましたか?
・夫のような強さを持って、受刑者に接したいと思いましたか?
・理解できる部分もあるけど、自分にはできないと思いましたか?

 

叫びたいほどイラつく自分の過去

 

母も夫も面会に来ることはなく、夫から手紙が届けば、過去を責める内容ばかりでした。

薬が抜けて、少しずつまともな考えが出来るようになってから読む手紙は、「それって私が本当にやったの…?」とか、「本当にそんなこと言ったの…?」ということがたくさん書いてありました。

その現実を直視し、自分がどうしようもない人間で、嘘つきで、人を裏切ってばかりで、本当にろくでもない人生を歩いてきたことに、ものすごく腹が立ちました。

出来ることなら時間を戻したい、受刑する前に戻るんじゃなく、私の幼少期に戻してほしい。

そしてちゃんと勉強し、今のような堕落した人生など絶対に送るもんか!そんなことを考えていた時期もあります。

当たり前ですが、時間は戻らない。

 

でも、二度と刑務所に戻らないことはできる

 

受刑者を観察し、特に累犯から話を聞き、依存症、アダルトチルドレン、機能不全家族、共依存、毒親、パーソナリティ障害について、刑務所にある本で徹底的に勉強しました。

そして自分の人生を振り返る作業を始めます。

・小さいころ、どんな子供だったか
・何を思い、何に傷付き、何を嫌だと思ったか
・どんな大人になり、なぜ刑務所に来ることになってしまったのか

少しずつ深堀りし始めます。

母からも夫からも見捨てられれば、きょうだいの居ない私は一人ぼっちになる。行く場所なんて何処にもない。

言い方はおかしいかも知れませんが、私は夫に「更生をせざるを得ない状況」へ上手く追い込まれたのです。

 

人生を振り返る、これは物凄く辛い作業

 

なぜだか分かりますか?

母にも夫にも、すぐに意見を聞けない、答えをもらえない、自分で考えるしかない。

しかもその答えが出ても、正しいか間違っているか、刑務所でジャッジしてくれる人は居ない。何が正解かなんて分からない。

そしていくら振り返ったところで、過去には戻れない。

それがもどかしくて、クソが!!と叫びたくて、自分に無性に腹が立ちました。

上手く表現できませんが、胸の奥を掻き毟って居ても立っても居られませんでした。

自分で自分をぶん殴りたい。自分がやってきたことがクズすぎて、過去の自分を心から軽蔑しました。

でも悲しいかな、そんな過去の自分も、間違いなく私自身なんです。

責任転嫁、どこか他人事、他力本願

 

・あんた等が私を甘やかしたのもこうなった原因の一つだろ!?
・面会に来て私の依存症に対する思い、話を聞けよ!
・納得いかない!オカンやオトンのせいでもあるじゃん。
・私は子供のころ、ろくな教育をされなかった。
・挙げ句は毒親で、私はまんまとアダルトチルドレンになった。

依存症の私に、向精神薬を貰える病院をハシゴする金、ギャンブルする金を渡し続け、私がおかしくなるのを見て見ぬふりをした、旦那も悪いだろ!

こうして責任転嫁を始めます。
確かに私の生育環境は、その後の人生にいい影響は与えなかった。

夫も、私が薬でおかしくなっていくのを見ていても、止めなかった。

でも結局、刑務所へ来てしまったのは他でもない、私自身の責任なんです。

母にも夫にも、この私の考えについてどう思うか聞きたい。でもすぐには聞けない、それがもどかしくて、またクソッ!!!と叫びたくて、自分の人生が本当にどうしようも無くて、そんな自分に本当に本当に腹が立ちました。

 

自省・自立・自律を促すような手紙と面会を

 

上記に書いた私のパターンが、全ての受刑者に当てはまるとは思っていません。

私の場合、夫が我慢強く、甘やかさない支援をしてくれました。

答えを与えるのではなく、私が1人で立ち上がり、歩けるように、少しずつ問題提起をしてくれたのです。

そのお陰で私がどう変化したか?

・自ら考えることを覚えました。
・自分の問題を受け入れられるようになりました。
・責任転嫁することが少なくなっていきました。

中には「そんなに厳しくしたらうちの人は自暴自棄になる」とか、「厳しくすることが逆効果になる」という方もいらっしゃるでしょう。

受刑者の罪名も、性格も、年齢も性別も、育った環境も、十人十色ですよね。

受刑者の特性をしっかり見極めて、自省・自立・自律させるような支援をしていただきたいのです。なぜなら、

 

出所はゴールではなく、スタートだからです。

 

私で例えます。

仮に夫が自省・自立を促さず、全て私に答えを教え、手取り足取り世話をし、コントロールをしていたら、出所後の依存症子はどうなっていたと思いますか?

私は上記に書いてある通り、

「あんた等が私を甘やかしたのもこうなった原因の一つだ!面会に来て私の話を聞け!オカンやオトンのせいでもある!私がおかしくなるのを見て見ぬふりをした旦那も悪い!」

こんなふうに考えていたのです。

その考えのまま出所していたら、私は一体、どんな人生を歩んでいたでしょう?

ここでは敢えて、どうなっていたかの予想は書かないでおきます。皆さん、想像してみてください。

 

一つだけ間違いなく言えるのは、「ろくな人生を送っていないだろう」ということです。

 

面会の数と手紙の内容

 

ブログの冒頭に書いた“受刑者のご家族と待ち人さんが、内容について少し勘違いをされている”と書いた出来事について書いて行きます。

私は、絶対に面会に行くなとは言っていません。

手紙を一切書くなとも言っていません。

 

中の人に嫌われないために毎日手紙を書いたり、自分がただ書きたいからと言う理由で手紙を書いているようなら、それは単なるあなたの我儘です。

それ、本当に中の人のためになっていると思いますか……?

「いえ!私の手紙の内容は自省を促していますし、ちゃんと指導していますから!」と言う人がいらっしゃるかも知れません。

毎日、同じ内容の手紙が届く、受刑者の身になって考えてみてください。

どれだけ濃く良い内容であっても、毎日手紙が来るようでは、そのありがたみは少なくなります。

これが恐ろしい「慣れ」ですね。

慣れによって、手紙の内容を熟読する気も失せるでしょう。

人間とはそういう生き物です。

 

私がこのブログでお伝えしたいのは、受刑者のご家族や待ち人さんには、適切な面会数と、答えを与えずに気付きを促す手紙を書いていただきたい、ということなんです。

 

厳しくするより、甘やかす方が簡単ですよね。

コントロールしたいですよね。

二度と失敗してほしくないから、自分の言うことを聞いてもらいたいですよね。

 

その気持ちをグッと堪えて、受刑者の出所後のことを、考えてあげてください。

今、あなたができる最善の支援は何なのか?少し立ち止まって、一緒に考えてみませんか?

 

刑務所からの手紙

 

 

待ち人の皆さんはご存知だと思いますが、刑務所から出せる手紙の枚数は7枚、文字数の制限もあります。

この方は初めて手紙を送ってくださいましたが、7枚にびっしり書かれており、更生への意欲を強く感じました。

出所後を見据え、出所後も心が折れることの無いよう、支援できればと思います。

フォロワーさんが900人突破

 

集客目当ての方たちのお陰で(笑)、フォロワーが900人を突破いたしました。

依存症子を初めからずっと見守ってくださる方も、最近私を知った方も、ブログを読んでくださって本当にありがとうございます。

認知の歪みは誰にでも起こる

 

 

こちら、セックス依存症になりましたという漫画を描いていらっしゃる津島隆太さんのツイートです。

こちらの漫画は、大船榎本クリニック斉藤章佳先生が監修されています。

行為依存について非常に勉強になります。依存症の勉強をしたいけれど、活字を読むのはちょっと…という方、ぜひこちらの漫画を読んでみてください。

 

イヴサンローラン・ボーテの試み

 

 

化粧品販売とDV(ドメスティック・バイオレンス)、一見結び付かないように感じます。

商品を購入する際に消費者が一瞬立ち止まり、「あれ?これ自分のこと…かも?」と気付いていただく機会を作る、とても良い啓発活動だと思います。

こちらに書いてある内容、バリバリの共依存です。

抽選になりますが、参加は無料です。私も申し込みましたので、お時間の合う方はぜひ!

担当さん産休中

 

 

一度短くするとどんどん短くなっていく謎現象……(笑)

前科者や元受刑者は、簡単に海外へ行けません!!!

 

出所後にハワイで結婚式。と考えていらっしゃる待ち人さん、いますか?

その願いは残念ながら、出所後すぐには叶いません。

こちらの佐藤先生、前科者や元受刑者がVISAを取るにはどうすれば良いか、発信されています。

私も時期が来たら佐藤先生に依頼する予定です。皆さんも参考になさってください。

言葉ではなく、行動で示し続ける

 

私は15年もの間、自分から人が離れていくのは、周囲が悪いんだ!と思っていました。

でもそれは大きな間違いで、私自身に問題があったから、人が次々と離れていったのです。

孤独になってから気付いても、後の祭り。覆水盆に返らずです。

発言と行動が伴わなければ、信用なんてされません。

有言実行、あるのみです。

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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