Column

刑務所からの手紙で自分を律する

コラム

前回のブログでは大久保公園で行われている売春について、私が援助交際をしていたころは可視化されていなかっただけで、やっていることは今も昔も変わらないと書きました。

 

初犯の若者

 

拘置所に収監されている初犯の男性へ、初めての手紙を出します。

赤落ちしたことは親御さんから聞いていました。(赤落ちは刑が確定し受刑者になることを指します)
試験勉強に集中していたため、試験後に一気に予定を詰め込み返信が遅くなり、3月28日に投函しました。

翌日に親御さんから刑務所へ移送されたと連絡がありました。

一足遅かったです。

移送先でも私を外部交通に登録してほしい、刑務所が分かったら教えてくださいと親御さんにLINEをして、これまで彼から届いた3通の手紙を改めて読み返します。

(外部交通とは文通をするのに予め名前と住所を登録する手続きです)

彼は初犯です。3通の手紙はジェットコースターのような激しい波があり、「本当に同一人物からの手紙?」と思うような内容でした。

今回は2週にかけて、彼から得た気付きを書いていきます。

 

逮捕直前の通話

 

彼だと分かりにくいので、ここではFくんとします。

Fくんは逮捕される直前、私と通話をしています。周囲の騒音から警察官がFくんを取り囲んでいる様子が伺えました。

「静香さん、すんません、せっかく色々やってもらったのに本当にすんません、俺もうダメです」

事情を一瞬で理解した私は、こう伝えました。

「囲まれているなら抵抗してもムダなの分かるね。Fくん、手紙のやり取り必ずしようね。私はFくんを絶対に見捨てない、これだけは忘れないで」

そう伝えて通話を切りました。そのあと親御さんに事情を伝えます。

Fくんは薬物依存症です。私は彼に「絶対にシャブ止めなきゃダメ!」と言ったことはありません。

 

それは更生している社会人として、カウンセラーとしてどうなの?そう疑問を呈する方もいらっしゃると思います。

私はFくんが明らかにキマッていると(薬物をやっていると)分かっても、彼を責めたことはありません。怒ったこともありません。

 

 

私から伝えていたのは、3つだけ

「いつかシャブを止められる日が来るよ」
「シャブを止められたらいいね」
「気をつけてね」

依存症者を責めても、残念ながら何も変わりません。

私が依存行為に耽溺しているとき、

怒られても、人が離れても、孤独になっても、依存行為を手放さなかった。手放せなかった。

だからFくんの気持ちが良く分かる。

Fくん自身も薬物を欲する根本の理由を、恐らく理解できていないのです。

シャブをやる理由なんて快楽以外ないでしょ!と答える人が多いですが、そういう人は日を空けずにスリップを(再犯を)繰り返します。

 

認知の歪みに「気付かない」からです。

 

ここで私が書いている根本の理由とは、なぜシャブに手を出したのか?きっかけです。

そこから目を背けているようでは、薬物依存症から回復を続けるのは難しいと思っています。

薬物だけではありません。

どんな依存症の人も、自分の弱さを理解し、認め、受け入れないと回復できない。私はそう考えています。

 

 

Fくんの言葉を聴くことに徹しました

Fくんは私を拒んだことはありません。

隠れて色々やっていたのを知っているけれど、それを追及したり責めたりしない。

だからFくんは私から離れなかった、逮捕直前に連絡をくれたのだと思います。

親御さんには本当に申し訳ないけれど、F君は間違いなく刑務所に行く、時間の問題ですとお伝えしていました。

あの場所へ行かないと、きっと分からない。

自分にとって本当に大切なものは何か、どうしてこうなったか、どこから道を踏み外したのか。

Fくんは自分を見つめ直す絶好の機会を、チャンスを手に入れた。

私は心からそう思っています。

 

 

留置場からの手紙

 

Fくんは留置場からも手紙を送ってくれました。

家族にものすごく迷惑をかけた、特にお母さん。

静香さんも裏切る形になって申し訳ない、AさんにもBさんにも申し訳ない。

みんなに顔向けできない、こんな自分が情けない。

AさんとBさんは私の回復仲間で、一度だけ4人でZoomで会話をしたことがあります。

AさんとBさんは薬物依存症者です。Fくんと繋げることでFくんの回復の希望にならないかと思い、繋げました。

結果から言うと、これは私の大きなミスでした。

AさんはFくんが持っていた薬物を見て、薬物を使用したい欲求が湧いてしまいました。

この出来事は親御さんに正直にお伝えし、Aさんにも謝罪しました。

Aさんがいくら回復者でも、Fくんと会わせるべきではなかった。

依存症専門の病院でいずれ二人は顔を合わせることになっていたとは思いますが、その前に二人を繋いでしまったことに対して猛省しています。

Fくんからの手紙にはAさんとBさんに対しても、申し訳ないという気持ちが綴られていました。

 

 

手紙でも、取り繕っていれば一発で分かる

 

皆さん意外に思われるかも知れませんが、気持ちを取り繕っている手紙は一発で分かります。

これは私が受刑者と手紙のやり取りをして、初めて気付いたことです。

文章だし顔を見ている訳じゃないんだから、そんなの分かんないでしょ?と思いますよね。

こんなに分かりやすいことは稀ですが、例えば

「とても反省しています、手紙のやり取りをしてくれて感謝しています。ところで○○の本を送ってください。」と書かれていたとします。

本を送ってほしいが為に、反省と感謝という上っ面の言葉を並べているのが分かります。

上記は分かりやすく書きましたが、これを枚数制限ギリギリの7枚に渡って上手く書いてくる受刑者も居ます。

累犯ほどこういったことに手慣れてくる印象があります。

何度も受刑を繰り返していくうちに、相手に条件を呑ませる方法をいつの間にか身に着けた、と言う方が正しいかも知れません。

それらを分かった上で、受刑者の希望する書籍が本人のためになると思えば、ブックオフで中古の本を買って差し入れをします。

その人のためにならない漫画や雑誌なら、容赦なく断ります。報奨金を貯めて自分で購入してくださいとお伝えします。

 

 

私が留置場に居たとき、どうだったろう?

 

Fくんと私を比べます。

私が留置場に居るときは本当にどうしようもなかったです。

親に恨みごとを言い、夫へ悪態をつき、逮捕されたことに対して申し訳ない気持ちはあっても、反省など全くしていませんでした。

他の収容者と喧嘩をして、保護室に2日間入れらることもありました。

何で私がこんな所にぶち込まれなきゃいけねぇんだよ!!

本気でそう思っていました。

自分の過去とFくんを比べて、「こんなに反省できるなんてFくんはすごいや、私とは大違いだな」と思いました。

ところが、2通目の手紙からFくんの様子が変化します。

来週に続きます。

 

 

前科者座談会、毎月開催中です

更生するにはどうすればいいか、皆さんでディスカッションをしています。

興味のある方はお声掛けください。アメブロのメッセージからでもOKです。

まるで我が家のように寛ぐ野良猫

この猫ちゃん、うちの子ではありません。野良猫ですが家が気に入ったのか、ほぼ毎日見かけます。

旭山桜の盆栽、見事に開花です。

 

人は言葉よりも行動を見ている

私が心掛けているのは有言実行。

希望も夢も、行動しないと叶えられませんよね。私は口だけの人は嫌いです。

 

桜木町

この日は快晴!桜木町は本当に美しい街ですね。

 

グラシンペーパー

本は紙で読みたい方におススメします。本棚で迷子にならず、ちょうどいい透過率です。

 

受刑者と仮釈放中の人には選挙権はありません。

これ、意外と知らない人が多いようです。平等なのは選挙権だけ、大事な権利のはずですが、とリプライをいただきました。

選挙権ほど平等じゃないものはないんです。

大事な権利のはずなんですけどね。

 

立ち止まって!

Twitterで仲良くさせてもらっている、西高童貞くんのツイートです。

いつもオラオラしているフリをしていますが、実は心の優しい礼儀正しい青年です。

 

 

こういう言葉が絶賛犯罪真っ最中、絶賛依存行為耽溺中の人に届かない現実を、何とか変えて行きたいです。
 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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