Column

日常生活を送りながらの回復は超難しい

受刑者

前回のブログでは通信制大学に入学し、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得すると書きました。

今日のブログは9月3日(日)に春日部GA3周年に参加させていただいた際に気付いたこと、思ったことを書いていきます。

夫にも一緒に来てもらいました。私以外の依存症者を実際に見て欲しいと思ったからです。

 

GAのスピーカーをやらせていただきました

 

 

話をする内容はメモをせず行きあたりばったり、そのせいで内容はあっちに飛びこっちに飛び、挙げ句は時間もオーバー。(笑)

ある程度の流れはメモをしないとダメだなと思いました。反省です。

当日お話を聞いてくださった皆さん、どうもありがとうございました。

 

スピーカーの皆さんのお話を聞いて

 

内容を書くことはGAのルール上できないのですが、午前中は私を除きギャンブル依存症当事者3人、ギャンブル依存症者のご家族1人のお話を聞くことができました。

どのお話も大きく頷く内容でした。

「わかるー!めっちゃわかるよ!その歪んだ考えと、人生を見事に転落していく流れ!」と心で何度も叫びながら聞かせていただきました。

ときには会場で笑いも起きます。笑えるってことは回復している証拠。

皆さんの経験談を聞いて過去の自分を思い出しました。

 

依存行為を絶対にできない場所は何処でしょう?

 

簡単ですね。刑務所や拘置所、留置場です。あとは病院。

 

依存症には物質依存行為依存があります。代表的なものを挙げます。

〇物質依存↓
アルコール、違法薬物、市販薬、向精神薬、シンナー、ニコチン、カフェイン、砂糖

〇行為依存↓
ギャンブル、窃盗、盗撮、痴漢、過食嘔吐(摂食障害)、セックス、ゲーム、SNS

どれも刑務所では絶対にできません。仮にできたとしても、刑務官に見つかれば懲罰になるものばかりです。

 

スピーカーの皆さんのお話を聞かせていただき、心からすごい!と思ったことがあります。

 

外の世界で回復するのは超難しい

 

私が逮捕されず、外の世界でギャンブル依存症からの回復を目指したとします。

過去の私だったら色んな人に嘘をついて金策をし、「ギャンブルなんてやってないよ」と言いながらスロットやパチンコを打ちに行くと思います。

その理由ですが、日々の生活に追われていると回復なんて考えられないからです。

むしろ日常のストレスから逃げるため、依存行為に溺れていきます。

仕事が上手くいかない、給料が少ないからといって転職するのも怖い、人間関係が上手くいかない、借金取りから電話やメールで催促が来る、家族関係が上手くいかない、誰にも相談できない、孤立する、etc……

 

心の余裕はどんどん無くなり、客観的かつ冷静に自分を見つめることなどできず、嘘に嘘を重ね依存行為に突っ走ってしまいます。

そういうときは第三者の苦言もアドバイスも一切耳に入らず、自暴自棄になり、いちいちうるさい!構わないで!!放っといて!!!となります。

・コンビニにアルコールは売っています。
・パチンコ屋は至る所にあります。今はオンラインカジノもあります。
・盗める物は至る所にあります。
・盗撮や痴漢をする対象はたくさん居ます。
・違法薬物はSNSで簡単に購入できます。
・向精神薬は病院で処方してもらえます。
・市販薬は薬局で買えます。
・ゲームやSNSはスマホがあればできます。
・悪友や依存症の知識のない同僚からの誘いがあります。

 

外の世界には依存行為の誘惑が山ほどあると思います。

誘惑を振り払える精神力は依存症真っただ中の人にはありません。0です。

そんな誘惑がたくさんある外の世界で地道に回復を続けているこの方たちは本当にすごい!素直にそう思いました。

 

 

私は刑務所にぶち込まれたから回復できた

 

自分が犯罪を犯して刑務所へ行ったので自業自得ですが、今日のブログでは敢えてぶち込まれたという表現を使わせてください。

私が刑務所へぶち込まれていなかったら、薬物もギャンブルも窃盗も買い物も、全て止まらなかったと断言します。

ストッパーが居ませんでした。正確には苦言を呈するストッパーは居たけれど、自分で遠ざけてしまったのです。

認知の歪みを指摘してくれた存在を、私は容赦なく切り捨てました。今思えば本当に人でなしです。

大切な存在をないがしろにし、嘘をつき、裏切り、自分の欲のままに行動した結果、受刑することになりました。

 

強制的に「できない」状態になった

 

受刑することで強制的に薬物、ギャンブル、窃盗、買い物ができない状況になりました。

一定期間、依存行為から強制的に離れさせられたことが、私の回復の後押しをしてくれたと思っています。

出所後のパチスロは5号機から6号機に入れ替わり、私が大好きだった4号機は裏スロに行かないと打てなくなりました。

(※裏スロ・闇スロ→風営法の許可を受けていない無許可営業の店舗で、設置されているパチスロも許可を受けずに違法改造され営業しています。マンションや雑居ビルの一室で鍵をかけ、隠れて営業しています。)

 

パチンコもパチスロも複雑になり、昔のような爆発力はなくなっていました。

一定期間打たなかった、情報が入らなかったおかげで今もギャンブルをやらずに済んでいますが、出所後にもし4号機に戻っていたら……?

間違いなく打っていたと思います。

 

日常生活を送りながら回復をされている皆さんを心から尊敬します

 

私は刑務所へぶち込まれたことで、強制的に回復せざるを得ない状況に追い込まれました。

父は23歳で亡くなり、受刑をきっかけに母親からは見捨てられ、ひとりぼっちになった私は夫以外に頼れる人が居ませんでした。

 

更生と回復をしないと私の人生は間違いなく終わる。

今後も薬物廃人を続けるか、ギャンブルも止められず借金まみれの生活を送り、きっといい歳して風俗で働いて、でも中年ババアだから客が取れず、立ちんぼをやる未来が見える。

これまで自分がやらかしてきたことを徹底的に振り返らないと、多分私は出所後に自暴自棄になって、死ぬ。

 

このような未来が明確に想像できたのです。

・私がスピーカの皆さんと同じ立場だったら、果たして回復できただろうか?
・外の世界で日常生活を送りながら、認知の歪みに気付くことができただろうか?
・あらゆる誘惑を跳ね除ける力を養えただろうか?

私にはできなかったと思います。

自助グループへ通ったり、病院に通院しながらあらゆる依存症から回復している人たちを、私は心から尊敬します。

 

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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