前回のブログでは、工場の先生に衛生係になりたいと言ったこと、それについてアドバイスをもらえたこと、他人の意見に耳を傾ける姿勢は大切だということを書きました。
刑務所で実際にどんな教育が行われているか、皆さんはご存知でしょうか?
その人の罪名に沿って矯正教育をしていると思っている人が大多数だと思うのですが、実際はそんなことはありません。
窃盗で服役した私が実際に経験した教育と、薬物で服役したAさん、殺人で服役したHさんでみていきます。
罪名が3つ挙がっていますが、私が服役していた刑務所で「その罪名の受刑者全員」に教育が行われていたのは、Aさんの薬物のみです。
私がとても意外だったのは、殺人でもこれといった教育や指導を刑務所側から積極的に行わないことです。命の大切さとかご遺族の想いとか、そういう勉強や教育を受けるんだろうと勝手に想像していたので、何もなかったとHさんから聞いたときにとてもびっくりしました。
後のブログに書いていきますが、私は刑務所の中を比較的自由に歩き回ることができる作業に就いていました。どんな教室や部屋があって何をしているか、ある程度わかります。
字が書けなかったり計算ができない受刑者に対して、学校のように読み書きや計算を教える授業をしているのを見たことがあります。
物を盗むことに快感を感じたり、盗むことに依存してしまうことを窃盗症やクレプトマニアと呼びますが、何度も窃盗で服役する人にはグループミーティングのようなものをやっていたと思われます。
私は窃盗で初めての服役でしたが、窃盗に関しての教育は一切受けたことがありません。「指導」という名のつく教育を受けたのは、以前ブログに書いたコミュニケーション育成指導のみです。
薬物事犯の人には水色のバインダーが渡され、「薬物依存離脱指導」というものが行われます。薬物依存症は病気だということは教えてもらえるようです。
依存症は色々なものと併発することが多いです。
私がその最たるものなので分かりやすいですが、違法薬物・処方薬・窃盗(クレプトマニア)・ギャンブル・自傷や整形等の自分を傷付けることへの依存・買い物です。
摂食障害の人にクレプトが多かったり、アルコールとギャンブルだったり…依存症という病気は他の依存症とかぶることがとても多いです。
私の場合は窃盗よりも薬物への依存が強く、薬物依存へのアプローチをしないと窃盗も回復しないということに立川拘置所で気が付きました。
物事にははじまりがあります。
・はじまりのきっかけはなんだったのか?
・なぜ自分が○○依存症になってしまったのか?
・その根底にあるものは何なのか?
自ら深く深く掘り下げていかないと、表面だけの回復では根本からの解決にはなりません。
出所してから刑務所の教育に対して、それはおかしいよね?と思うことが増えました。
依存症の人を刑罰で拘束するだけで、何も勉強させることなくそのまま出所させてしまえば、また戻ってきてしまうのは火を見るより明らかです。
少年刑務所では更生に力を入れているのに(若くて未来があるから)、成人が行く刑務所では教育がおざなりというか、とりあえず作業しておけ感が否めません。
法務省も受刑させることで精一杯、出所後のことまで考えていられない、依存症の受刑者が増えすぎてどう対処していいか分からず、困り果てているという感じでしょうか。
そして言い方は悪いですが、反省もせずまた堂々と刑務所に戻ってくるような受刑者に教育を受けさせるだけムダ、となってしまうのも仕方のないことかなと思います。
それならば、反省をして真面目な受刑態度の人に教育を受けさせる機会を与えよう、となるのも理解できます。
刑務所で1年間に1人の受刑者に使われる金額は、300万円とも言われています。
依存症で刑務所へ来てしまった受刑者にもっと勉強をさせたほうがいいのに……そうすることで再犯が少なくなるのに……
そんなことを思う私に、ある新聞の記事が飛び込んできます。
刑務所の更生プログラム #2 へ続きます
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。