前回のブログでは、類は友を呼ぶことの恐ろしさと、私のモノの見方について書きました。
内掃に転業すると同時に居室も変わります。経理工場が多く生活するのは5寮です。
美容と外国人は2階で生活しています。5寮1階は雑居が1部屋しかなく、洗濯工場に居たときはこの雑居で生活していました。その他は基本2人部屋です。
この5寮には他の工場の1類1種の受刑者が生活していて、彼女たちは2人部屋に1人で生活できます。
刑務所の類と種について:種が上がれば電話面会や刑務官の立会い無しで面会できます。類が上がれば月に面会できる回数と手紙の発信数が増えたり、お菓子を購入できます。
1類1種になれる受刑者は本当にごく少数で、無期懲役や長い刑期の受刑者が多いです。
1類1種の受刑者は、懲罰を受けることなく真面目に務めている証拠です。
先ほどから書いているこの2人部屋、たった2畳半程度の広さしかありません。
2畳半に2人で生活するのはとても息苦しく感じました。
就寝時はシングルの布団を2つ敷きますが、狭いのでお互いの布団が重なってしまいます。寝返りを打つとすぐ隣に同室の受刑者の顔がある、という感じです。
栃木刑務所に入所してしばらく経ってから知ったことですが、他の一般工場の雑居だと陰湿ないじめや、露骨な嫌がらせのようなものもあったようです。
気に食わない受刑者を懲罰にさせたり、そろそろ仮釈放だと分かると「そうはさせまい」とその受刑者が懲罰になるようにけしかけたり……。まぁとにかく人間関係が面倒くさそうでした。
刑務所へ行ったことのない人がほとんどだと思いますので、ここで懲罰について触れておきます。
刑務所用語でよく聞く「懲罰」ですが、自分が悪いことをしていなくても(ルールを守っていても)懲罰になるときはなります。
どういうこと?という方のために私の経験を書いていきます。
内掃工場は刑務所中のお掃除をする工場なので、箒やモップ等の細くて長いものをよく使います。長いものを扱うときは周囲に人がいないか、注意しながら動かなくてはなりません。
内掃工場にSさんという行動が遅い人がいました。(日本人です)
私がモップで廊下を拭いていたのですが、Sさんが急にモップにぶつかってきました。
その後私が厳重注意をされるという何とも理不尽な出来事がありました。もしSさんが怪我をしていたら私が懲罰になっていたでしょう。
自分が真面目に作業に取り組んでいても、足を引っ張る人がいれば懲罰になってしまうのが刑務所と言う場所です。
私は5寮1階の2人部屋で、日本語がとても上手な中国人のTさんと生活をするようになります。
今日は、私が洗濯工場にいたとき、とても親切に刑務所のことを教えてくれたMさんのことを書いて終わりにします。
Mさんは覚せい剤の営利で受刑していました。いわゆる売人ですね。懲役5年以上で、今回の受刑が何回目だったか忘れてしまいましたが、少なくとも3回以上だったと思います。
付き合っている男性、Xに売人をさせられていたという話でした。
Mさんには戸籍上夫がいますが、おそらくこの夫はXが用意したダミーです。
私がそろそろ仮釈放になるということが、工場が違うのになぜかMさんに知れます。
朝の洗顔のときに、「出所したらXに電話して、私は東京オリンピックまでに出るからと伝えてほしい」と頼まれます。
懲罰になる可能性があったものの、Mさんから色々教えてもらったことで助かったことがいくつもあったので、引き受けることにしました。歯磨きと洗顔のときに電話番号が書いてあるちり紙を受け取り、居室に戻ってノートに書き写します。
ノートはもちろん刑務官が検査します。
電話番号や名前は消すように指示されるのですが、数字を誤魔化し文字に変えノート検査をかいくぐります。
仮釈放後少ししてから、その電話番号に番号通知ありで電話をします。
ですが出ません。鳴るけど出ません。何日か電話をかけ続けました。けど出ません。
伝言メモになったときがあったのでメッセージを残します。
「栃木刑務所でMさんと一緒だった依存と申します。Mさんから伝言で、東京オリンピックまでには出るから待っててとのことです。」
その後も何回かXに電話をしましたが、出ることはありませんでした。
私はMさんはXに利用されていたのだと思います。
Xはその筋の人間です。売人を失えばまた新たな売人になりそうな女を見つけるでしょう。
私は過去にヤクザの愛人をやっていたことがあります。
その舎弟や兄弟分が刑務所に収監中、どの女がこうだ、あの女がこうだ、あっちの女はどうなってる、という話を嫌というほど聞いていました。
内妻は基本1人ですが、その内妻が仮に待てないとなったときの“保険の女”を常に見繕っておくのがヤクザです。
懲罰がなく真面目に務めていれば、Mさんは今ごろ出所しているでしょう。
他人のことだし余計なお世話ですが、MさんにはXとは手を切って、もっと素敵な男性を探してほしいなと心から思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。