前回のブログでは、盆栽を始めるようになったのは刑務所で植物のお世話をしたことがきっかけで、土や植物に触れるのは精神的にとても良いことを書きました。
昨日Twitterでつぶやきましたが、依存症者のご家族の話を聞く機会がありました。
依存症者のご家族がどんなことに悩んでいるかを実際に聞いて、依存症者である私がどう思ったかを書いていきます。
このブログを読んでくださる依存症者のご家族の皆さん、あなたの大切な人は自分が依存症であると気付いていますか?
昨日のお話を聞いてまず思ったのは、依存症者本人が“自分が依存症だと理解していない”場合が多いということです。
本人が破滅的な行動をしていることを自覚し、なんで私は(俺は)こうなってしまったんだ……と気付くことが、依存症治療の入り口です。
自分が依存症だと理解しないと、自ら変わろうと意識しないと、依存症専門の病院や自助グループに繋がろうとは思いませんよね。
ご家族がいくら口で「あなたは依存症という病気なの、だから一緒に病院へ行きましょう」と伝えても、本人は病気だと認めないでしょう。
なぜなら依存症者本人が、その依存行動で困っていないからです。
依存行動で困っているのは、この時点ではご家族です。例としていくつか挙げます。
依存症者から暴力を振るわれる
警察沙汰になる
依存症者からお金の無心をされる
ご家族の生活がままならなくなる
上記のようなことが起こり始め、ご家族としては何とか依存症者を立ち直らせたい!という思いと、近所や世間の目を気にして尻拭いをしてしまいます。
尻拭いの例をいくつか挙げます。
・借金の肩代わりをする
・暴力を受けても警察へ通報せずに隠す
・生活費を出し続ける
・食事・洗濯・掃除など身の回りの世話を焼きすぎる
・依存症者の言いなりになる
私自身、上記のことは全部経験しました。そして母や夫に全て尻拭いをさせてきました。
母が言うことを聞かずにお金を出さなければ、「私がこうなったのはお前の育て方が悪かったからだよね?」と開き直り、暴力を振るいます。
自分の娘がなぜこうなってしまったのか……。自責感から母は私の無理難題を聞いてしまいます。
家族に尻拭いをさせているから、自分に責任が降りかかってくることはありません。
自分で責任を取らなくていいから、好き勝手に借金しギャンブルにのめり込み、薬に溺れ窃盗をすることができました。
母と夫が尻拭いをしてくれたお陰で、私は安心して薬やギャンブル、窃盗に依存できたのです。
逆に言えば母と夫が一切の尻拭いをやめたら、私は刑務所に行かずに済んだ「かも」知れません。
依存症治療の入り口は、依存症者に自分が依存症だと気付かせることです。
じゃあどうやって本人に依存症だと自覚させるの?とご家族は考えると思います。
昨日の家族会でもそのような質問をされている方がいらっしゃいました。
私自身の経験を踏まえ、とても厳しいことを言いますが、依存症者の尻拭いを一切しないでください。
依存対象が何なのかにもよりますが、ご家族も相当の覚悟を持って依存症に向き合わなくてはいけません。
あなたの大切な息子・娘・夫・妻が警察に突き出されることも覚悟してください。
仕事も解雇されるかも知れません。
依存症者本人が自己破産する可能性もあります。
自宅に借金取りが来ても、毅然とした態度で警察を呼んでください。
ご家族からすれば世間体を気にしたり、依存症者の今後の仕事など心配なことは山ほどあると思いますが、“そんな目先のこと”を気にして問題を先送りしているようでは、これから先の依存症者の人生が本当に終わってしまいます。
私がご家族に強くお伝えしたいのは、ご家族が尻拭いを続ける限り、依存症は絶対に回復しないということです。むしろ悪化する一方でしょう。
刑務所は覚せい剤や窃盗、飲酒運転で人身事故を起こし服役している人がたくさんいます。
何度も刑務所へ行く人のことを累犯と呼びますが、累犯ほど手紙や面会が頻繁です。
受刑者を家族や友人が甘やかし、本人自ら反省も依存症の治療もしないから、多くの人がまた刑務所へ戻ってしまうのが現実です。
ご家族のお話を聞いた日の夜、夫と話し合いの場を設けました。
依存症者のご家族がこういうことで悩んでいる、困っているという話をして、あなただったらご家族にどういうアドバイスをする?と聞いてみました。
夫は以下のように答えてくれました。
・依存症者を突き放し縁を切る覚悟を持つ
・依存症者を残して家を出て、物理的に距離を取る
・自分のことを大切にする
・「自分が何とかしよう」という責任感は素晴らしいが、依存症者にとっては逆効果
・「ある意味」見捨てることが必要で、完全に見捨てるわけではない
・本人が自主的に自分を変えようと思って動き始めたときにサポートが必要になるから、そうなるまで見捨てる
・物理的な距離を置くことで依存症者に「自分のやったことがどういう結果を招くのか」を理解させる
・家族が尻拭いをすることで、依存症者が「失敗してやり直す」という経験を奪ってしまう
私の依存行動が激しくなりどうにもならなくなったころ、実際に夫は以下のような行動を取っています。
夫は私をとことん突き放し、刑務所へ行かせました。
裁判で情状証人になるべきところも断固として拒否し、傍聴にさえ来てくれませんでした。
拘置所、刑務所と一度も面会に来ることはありませんでした。
夫が辛抱強い愛情を注いでくれたから、忍耐強い愛情を持って私に接してくれたから、私は一人で立ち上がって自分の足で歩くことができています。
もしあのとき、夫が甘い優しさで「症子の帰りを待っているよ、いつまでも傍にいるよ、俺が助けてあげるよ」と言っていたとしたら?
考えただけでも恐ろしいです……。
私が逮捕され刑務所へ行くことで、夫は職場を変えることになりました。
夫も相当な覚悟を持って私と向き合ったのです。夫が犠牲にしてきたものが理解できるから、真剣に向き合ってくれたのが分かるから、私もそれに心から応えたいと思うのです。
依存症者のご家族の皆さん、あなたの大切な人を依存症から回復させるには、相当な覚悟が必要です。
ご家族の覚悟は必ず依存症者に伝わります。
一時の尻拭いをして切り抜けるのは、問題を先送りしただけです。
このブログがご家族の覚悟を後押しできるものになることを、切に願います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。