前回のブログでは、依存症者のご家族のお話を聞く機会があり、実際の依存症者である私が思ったことを書きました。
今日は『連鎖』について書いていきたいと思います。
アルコール依存症の元で育つ子どもがアルコール依存症になってしまう、という連鎖は依存症の世界ではとてもポピュラーです。
子供のころにアルコール依存症の父親に暴力を振るわれ、「こんな親に絶対になるもんか!!」と思ったにもかかわらず、自分も同じくアルコール依存症になってしまうというパターンがとても多いです。
上記のようなパターンであれば父親がとても憎いはずです。嫌いなはずです。なのになぜ、嫌いだったはずの父親と同じ道を歩んでしまうのでしょうか。
このような連鎖は依存症の中だけではなく、生活の中の様々なところで起きていると私は考えています。良くも悪くも。
私の生育環境で例えていきます。
父は私が24歳のときに亡くなっています。父はTHE昭和!という感じの人で、女は結婚して家庭に入るのだから大学など行く必要はないという考えでした。
そのかわり食事の作法やお箸の持ち方、歯並びなどは徹底的に直されました。小学校低学年から矯正を始め、私がちゃんと嫁げるように外見的な美しさや所作、最低限のマナーを叩き込んだのです。
これは父が「歯並びがきれいな女性は笑顔が可愛い」、「食事の食べ方がきれいな女性は美しい」、「箸の持ち方が正しいと食材をちゃんとつまむことができ、結果きれいな食べ方になる」という考えを持っていたからです。
この父の考え方は私に連鎖しており(踏襲と言った方が正しいかも知れません)、くちゃくちゃ音を立てて物を食べる人とはあまり一緒に食事をしたくありません。
以前Twitterで呟いたことがありますが、ある程度の地位にいるにも関わらず歯がなかったり、虫歯だらけの人は絶対に信用しません。
矯正をさせてくれたこと、食事の所作をしっかり教えてくれたことに関しては、本当に両親に感謝しています。
父も母もヘビースモーカー、ギャンブルが大好きで小学生の私をパチンコ屋に連れて行き、釘を見るということをやらされてきました。
これも以前のブログに書きましたが、子どもをパチンコ屋に連れて行くなど今では絶対にあり得ませんし、「なんて親だ!」と思うのが普通だと思います。
子供心に「パチンコ屋はたばこ臭いしうるさくていやだ、大人になったら絶対にこんな所に来るもんか!」と思いました。
ですが大人になった私は、チェーンスモーカーになりギャンブル依存症になりました。
両親のギャンブル依存症が“原因”で私がギャンブル依存症になったわけではなく、あくまでも“要因”の一つであったと考えています。
私の祖父は母を相当厳しく躾けたと聞いています。厳しく躾けられた母は、同じように私を厳しく躾けます。
私は昔の「躾」と「虐待」は紙一重だと思っていて、遡って行けば祖父も曽祖父に「躾」という名の虐待を受けていたと推測しています。
これは虐待の連鎖ではなく、虐待をするような“環境の連鎖”が起きているのだと思います。
刑務所は家庭環境が複雑な人が多いですが、受刑者本人もシングルマザーだったりします。
親の不仲や不倫で悩んだことがあるのに、そんな姿が嫌だったはずなのに、自分も同じような家庭をつくってしまう人がいます。
生育環境は本当に大切です。
環境がおかしなものであれば、その人の将来もおかしくなる「可能性」が大きくなります。
親は選べません。
おかしな環境から脱するには、自分で気付いて自分を修正していく必要があります。
両親の依存症が連鎖したのではなく、その環境が依存症という連鎖を生んでしまうのです。
連鎖を断ち切るには、自分を理解するしかありません。自分を理解しないと修正など出来ないからです。
何が間違っているのか、おかしいのか、それを知らないと直しようがないからです。
どうすればいいの!?と第三者に問題を丸投げせず、自分がどうなりたいかを明確にすれば、修正する点が自然と見えてきます。
私が刑務所に服役して思ったのは、こういった連鎖が本当に多いということです。
その連鎖に気付かず、何も考えることなく出所してしまった人は、その後の生活も苦しいものになるのではないかと思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。