前回のブログでは、摂食障害の女子受刑者について書きました。
今日はアルコール依存症の女子受刑者について書いていきます。
前回書いたブログの摂食障害に引き続き、アルコール依存症と刑務所はあまり結びつかないと思う方もいらっしゃるかも知れません。
私も自分が刑務所に入るまでそう思っていた一人です。
言い方は悪いですが、摂食障害は食べなかったり吐き戻したりを一人で勝手にやっているだけで、他人に迷惑をかけているわけではありません。
アルコールを嗜むのも一人で飲んで勝手に酔っぱらうわけですから、他人に迷惑はかかりません。ですが依存症になると話は別です。
パートナーや家族、知人に迷惑をかけてしまうことがあれば決して“嗜んでいる”とは言えませんよね。そして依存症が進行すると、他人に迷惑をかけているということに気付けません。かつての私がそうでした。
余談ですが、留置場に居るときに坊主の女性と同室になったことがあります。その女性が入ってきたのは午前中でしたが、とても酒臭かったのを覚えています。女性で坊主頭ということにとても驚き、彼女に興味がわいた私は色々と話を聞きます。
みなさんはキッチンドランカーという言葉をご存知でしょうか?
家事をしながら飲酒をし、だんだんやめられなくなることを指します。彼女の場合は料理酒を普段から愛飲しているようです。ご主人もアルコール依存症で普段から喧嘩と暴力が絶えないらしく、髪の毛を引っ張られて大量に抜けたことがあったそうです。
それ以来丸坊主にし、普段はウイッグ(かつら)を被っていると言っていました。
この話を聞いたときの私は、坊主頭になりウイッグを被ってまでその夫と一緒に居たいんだ……と思いました。そして坊主頭とウイッグで過ごすことは、彼女にとって合理的な生き方なんだなとも思いました。
後に拘置所と刑務所へ行き依存症について勉強した私は、彼女とご主人が共依存の関係にあることを理解します。
アルコール依存症の女子受刑者の罪名ですが、私がお話を聞いた方は酒気帯びや酒酔い運転、暴行や傷害などです。アルコールの場合は薬物と同じで、累犯の人がとても多いです。
以前のブログにも書きましたが、違法な薬物と違ってアルコールは堂々と販売しています。誰でもどこでも、未成年でも簡単に購入することができます。
違法ではないモノに依存している人は質が悪いです。
その理由は、“依存しているモノを摂取したり行動するための言い訳”が簡単に見つかるからです。
・酒は販売している!俺は誰よりも酒税を収めているのに何がいけないんだ!
・競輪、競馬、パチンコは違法じゃない!やって何が悪い!
・私は勝手に食べて勝手に吐いてるだけ。あなたに迷惑掛かってないですよね?
・医者が処方している薬なんだから違法じゃないでしょ!
↑これらは実に質が悪い言い訳だと私は思います。私自身もこのように言っている時期がありましたので、依存症者側の言い分は理解できます。
飲酒運転で今回が3度目の服役だというDさん。年齢は60代前半です。飲酒運転をして捕まったという話は聞きましたが、それが人を巻き込む事故だったのかまでは分かりません。あまり話をしたがらなかったので、私もそれ以上聞くことはしませんでした。
アルコール依存症の治療を受けているか聞きましたが、Dさんは自分がアルコール依存症だとは思っていないようでした。というより、アルコール依存症だと認めていないと言った方が正しいです。
「病院行けって言われるけど、治らないんでしょ?行ってもしょうがないじゃない。第一私は病気じゃないわよ」
私は立川拘置所と栃木刑務所で、このセリフを多くの受刑者から何度も聞きました。
「治らないんだから病院に行っても仕方がない」、「治らないんだからしょうがない」
本人たちが一度でも自助グループや依存症専門病院へ行ったことがあるならまだしも、何のアクションも起こさずに諦めている人が刑事施設にはいます。
治らないんだから仕方がない、治らないんだからしょうがないと自分に言い訳をし、面倒なことから逃げて投げ出し続けると、間違いなくDさんのように累犯になってしまいます。
アルコール自体は違法なモノではありませんが、アルコール依存症の人が拘置所や刑務所に多く収監されている事実を、知っていただけたかと思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。