Column

受刑者や依存症者を支える側の覚悟

拘置所・刑務所

前回のブログでは、受刑者や依存症者の支え方について書きました。

そこそこの反響があった中で、受刑者や依存症者をどう支えていけばいいか、悩んでいる方がとても多いことが分かりました。そこで今日は“支える側の覚悟”について書いていきます。

受刑者を支えることと依存症者を支えることは似ています。その理由はどちらも生育環境が悪かったり、依存症から犯罪に走ってしまうことがあるからです。

受刑者と依存症者の大きな差は、犯罪者かそうではないかです。
犯罪者の支えになるということは、支える側にも白い目が向けられます。私で例えていきましょう。

私は依存症者で元受刑者です。覚せい剤などの違法薬物への依存から始まり、向精神薬を大量にODし、ギャンブル、自傷行為、買い物、窃盗への依存が激しくなり逮捕されます。
自分が依存症だと気付かないまま、向精神薬のODを止めたいけど自分ではどうにもならず、執行猶予中にまた窃盗で逮捕され刑務所へ行く事になります。

逮捕されるとどんなことが起こるか、分からない方も多いと思いますので書いていきます。

警察官が自宅に家宅捜索に来ます。家族は何度も事情聴取を受けます。警察官が何度も家に来る、妻が長期間不在となれば、近所の人は色々な噂話を始めます。

夫は何一つ悪いことをしていないのに、犯罪など犯していないのに、“犯罪者の夫”という目で見られてしまうのです。

このあたりを理解していない受刑者と待ち人さんが多いように感じるので、今日はあえて厳しいことを書きます。

受刑者と待ち人さんが同じくくりで世間から見られることに、気付いていますか?
それはあなたがその人と一緒に居る限り、ずっと続きます。

結婚して子どもが生まれれば、その子供は“犯罪者の子ども”になります。前科がある両親から生まれた子供に、就けない職業があることを知っていますか?

成長した子供に「僕警察官になりたいんだ!」と言われたとしましょう。
本人がいくら努力しても、警察官になる実力が十分にあったとしても、自分が犯した罪のせいでその夢や目標は断たれてしまいます。

受刑歴を隠して生きて行くから大丈夫!そう思う人もいらっしゃるでしょうが、万が一それが露見してしまったときにどうしますか?受刑歴が原因で、大切な子どもがいじめにあったらどうしますか?

そういったことを全て理解した上で、「私は(俺は)この人を支えて一緒に居るんだ!」と考えている待ち人さん、どのくらい居るのでしょうか。

私は受刑者と待ち人さん、ご家族を脅しているのではありません。

上記のようなことが起こっても構わない、それでも私は(俺は)受刑者を支えるんだ!という覚悟を持っていますか?と問いたいのです。

受刑者を支えることは、支える側の人生の問題でもあるのです。
惚れた腫れたの一時の思いだけでは、支えることはできないと私は考えています。

私がヤクザの愛人をやっているころの話です。
そのヤクザの舎弟の面会や差入れに行ったことがあります。その舎弟には内妻がいて、その他にも彼女と呼ばれる女性が何人もいました。仮に内妻が身元引受人を断っても大丈夫なように、他にも女性を見繕っておくのがヤクザです。

女性たちはその舎弟のことが好きだから、言われるがままに面会へ行ったり、差し入れをしていました。

上記のようなパターンは特殊ですが、受刑者に嫌われたくないから安易に差入れをしてしまう人が多いように感じます。

待ち人さん、あなたがやっているその差入れや面会、手紙は本当に受刑者の更生を願っての行動ですか?「彼に(彼女に)嫌われたくない」という思いがどこかにあるのではありませんか?

依存症者の場合、対象が多岐にわたるので例えるのが難しいですが、ご家族にありがちなことを挙げていきます。

・ギャンブルで生活がままならない、高利貸しから借金をして怖い思いをしている
・パートナーがアルコール依存症で、日常的に暴力やハラスメントを受けている
・自分の子どもが手首を切るのを止められない、そんな状況にもう慣れっこになっている
・自分のパートナーが盗撮や痴漢を止められず、別れようか考えてしまう
・過食嘔吐を繰り返す子どもと、どう接していいか分からない

依存症者のご家族の皆さん、依存症者を依存症専門の病院へ連れて行くことはできますか?
暴力を振るわれたときに警察へ通報できますか?
役所に支援を求めることはできますか?
自分の家族が○○依存症だと、世間に知られてしまうことを恐れていませんか?

↑これらが依存症者を支える側の“覚悟”だと私は考えています。

ご家族が隠そうとすればするほど依存症者は卑屈になるでしょう。「あんたらからすれば私は世間から隠したくなるような存在ですよ」、と。

依存症者は感情に対してとても敏感です。家族が思う以上に。

 

夫はこれまで書いてきたような“覚悟”をしっかり持って、私と共に人生を歩んでいます。

仮に私がスリップをしたら、夫は私を即切り捨てるでしょう。

前回のブログと少し被りますが、それはごく自然なことだと思います。

夫はそれだけの覚悟を決めて、私と真剣に向き合ってくれているのです。私の活動を応援してくれるのです。

私がそれを裏切れば、切り捨てられるのは当然のことだと思っています。

受刑者や依存症者が覚悟を決めるだけでは、更生や回復は難しいのです。

そのご家族も覚悟を決めて、共に問題を解決していくことが更生であり、回復だと私は思っています。

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

原本のサイトはこちらです。読者の皆さんからのコメントなども、ご参考になさってください。

PAGE TOP