Column

共依存の怖さ

共依存(イネイブラー)

前回のブログでは、産業カウンセラー養成講座で共に学ぶ皆さんの前で、課題の作文を読み上げたことを書きました。作文の内容は、自分が依存症当事者で元受刑者だというものです。

励ましをたくさんいただきとても嬉しかったです。コメントをくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました。

つい先日、知人を介して私のブログを読んでくださる方とお会いする機会がありました。

この方に「実際に私と会ってみてどんな印象ですか?」と伺ったところ、「普通の人で安心しました」とのことで思わず大爆笑してしまったんですが、私がそれだけ社会に上手く馴染んでいる(溶け込んでいる)証拠だなと思いました。

このブログを読んでくださる皆さんからすれば、今の私の容姿や雰囲気など全く想像が付かないと思います。

これから活動するにあたり、実際にお会いしたり、LINE、zoom、スカイプなどのツールを使ってお話をする方が増えると思いますが、“今の私”は至って普通のどこにでもいる元気なおばさんですので(笑)、お気軽に話をしていただければと思います。

最近はホームページ作成の追い込み作業で、たくさんの方と連絡を取ったり通話をすることが多いです。

依存症者のご家族、依存症当事者で現在前向きに回復されている方、元受刑者でしっかり更生されている方。
皆さんからお話を聞くことで知識を得て、ホームページがより良いものになっていくことに心から感謝しています。そして私は本当に人に恵まれているなと感じます。

そんな中でも非常に興味深く、なるほどなと思ったことを今日は書いていきます。

 

一人では共依存の自覚は難しい

依存症者のご家族からのお話です。お名前を仮に和美さんとします。息子さんが依存症者です。

和美さんは私のブログを熱心に読んでくださり、和美さん自身も依存症についてとても勉強されていました。和美さんは私の2020年11月のお話を聞きますというブログをご覧になり、今年の3月からLINEで繋がって連絡を取り合っています。

和美さんに私は当初、「何が何でも家族会に行ってください」とお願いをしました。和美さんは本当は行けるような状態ではありませんでしたが、無理矢理時間を作って参加すると決意してくれました。自分と同じように苦しんでいるご家族が居ることに涙し、後に家族会に参加して本当に良かったとおっしゃっていました。

私が和美さんに家族会に行ってくださいとお願いしたのにはしっかりとした理由があり、まずご自分だけが苦しんでいる訳じゃない、他にも同じように悩む方がいることを知っていただきたかったのが一つ。そして一番の理由は、他のご家族を客観的に見てほしかったからです。

和美さんはご自分が息子さんに対して間違った支え方をしていると、私のブログを読んで十分理解されていました。ですがご自分が共依存であることを自覚しながら、それでも息子さんに間違った支援をしてしまったことがありました。

これについて和美さんは、自分が共依存であると認められなかったり、自分に都合の良いように考えてしまったり(解釈してしまったり)していたそうです。

その度に私のブログを読み返しハッと我に返るそうです。(我に返れること自体がすごいです)

ハッと我に返っただけでは、また同じことを繰り返してしまいます。私と和美さんはLINEで1週間に1回くらいのペースで交流し、現在のご家族や息子さんの状況を確認しながら、アドバイスをさせていただいております。

このことから、共依存であるご家族に“こそ”、定期的にケアが必要だということが分かったのです。「和美さん、共依存に戻っていませんか?」と、息子さんとの共依存から引きはがすことが大切です。

頭で理解するのは簡単なんです。「そっか、私は共依存なんだ」と。

じゃあ具体的に自分のどんなところが共依存なのか、冷静な目を持つ“家族以外”の第三者に判断してもらう必要があると思います。

 

当たり前が問題を見失う

あくまでも例え話です。夫婦ともに60歳で、子どもが35歳のご家族が居たとします。。子どもは働かずに家で引きこもっているとしましょう。

夫は初めのころは口うるさく働け、就職しろと注意します。でも一向に変化しない、注意すれば暴れる、仕方なく生活を共にします。妻はそんな子どもに毎日食事を作り、掃除、洗濯など身の回りの世話をします。

この生活がご家族にとって当たり前となっています。子どもの世話を35年間続ける両親からすると、これが我が家の日常だと思います。

が、皆さんから見てどう思われますか?上記の家族の生活は当たり前の日常と言えるでしょうか。

35年間この状態や生活を続けて来てしまった子どもと同じくらい、ご家族も抜け出すのが大変なのです。

母親は毎朝子どもを起こし、朝食を作るのが35年もの間ルーティン(習慣)となっています。そのルーティンをいきなり止めるのが、どれだけ難しいかということです。

その家族の中では当たり前でも、第三者から見ると「それって〇〇では?」ということってたくさんあるんですよね。

それに気付かせてくれるのが“家族以外”の第三者です。自分に厳しいことを言ってくれる、客観的に見てくれる人の存在が必要になってきます。

正常に機能しているご家族の場合は第三者の意見など必要ないでしょう。

ですが、依存症者のご家族は多くが機能不全家族です。そして自分の家族が機能不全であることに気付かぬまま、依存症者を甘やかしたり、おかしな支え方をしたり、間違った支援をしてしまう場合が本当に多いのです。

そして機能不全の家庭で育った子供は、アダルトチルドレンとなります。
アダルトチルドレンに依存症者が多いのは事実です。(ブログの最後に機能不全家族とアダルトチルドレンの説明を載せています)

自分の家族ってどうなんだろう、立ち止まって考えるのも、依存症の回復と共依存の回復には必要なことです。

 

依存症者だけに目を向けすぎないで、まずは自分のケアを

これはとても難しいことです。共依存のご家族の最難関とも言えると思います。

自分の大切な人の依存行動で悩んでいるのに、酷い目にあっているのに、何とかしてほしくて相談してるのに、どうして自分のケアが必要なんだよ!そんなのどうでもいいから依存症者を何とかしてくれ!!

その言い分はごもっともです。私もご家族の立場だったらそう思うでしょう。

依存症者のご家族や支える側の方は、とにかくご自分を大切にしてください。
依存症者だけに向けていた力を、ちょっと立ち止まってご自分に向けてみてください。
最近笑ったかな?何が楽しかったかな?ご自分を見つめてみてください。

依存症者とご家族が歩幅を合わせて一緒に進まないと、依存症も共依存も回復しないんです。

依存症を何とかしたい!だから病院に行かせてほしいと懇願しても、私の夫は頑なに受け入れませんでした。それは当然なんです。だってこれまで散々嘘をついて裏切って来たのだから。だから私はコツコツ頑張りました。依存症を分かってもらおうと努力しました。

相手を変えるにはまず自分から。そうして今の私と夫があり、7年経ってやっと同じ方向を向くことができています。

ご家族が依存症者に間違った支援をすることで、依存症は悪化します。これは何度も書いていますが、間違った支援の具体例をいくつか挙げます。

・借金の肩代わり
・吐瀉物の片付け
・朝起こしたり身の回りの世話を焼く
・仕事を(進路を)決める・押し付ける
・年金や市民税を払ったり生活費を渡す
・依存症者をコントロールしようとする

これらをすることで、本人が何かを掴むきっかけや、自分で考えるチャンスを奪ってしまう可能性があります。

依存症者が自らの足で立ち上がり進む、その妨げをするようなことを、ご家族や支援する側はしてはならないのです。

〇〇しなよ!
〇〇したらもっと良くなるよ!
〇〇はやめなよ!

言いたくなる気持ちをグッと堪えて見守る。それが忍耐強い愛情、タフラブだと私は思います。

依存症者と共依存のご家族が、同じ熱量と歩幅で進む。そうすると回復は早いのではないか、自身の経験から感じています。

簡単に言いやがって!と思う方もいらっしゃるでしょう。簡単ではないことは、依存症者で元受刑者の私が一番よく分かっています。

私のパターンが皆さんに当てはまるとは限りません。

家族の数だけ答えがあると思います。

こんなふうに回復した、こうしたら良くなったというご意見を募集したいと思います。コメント欄やTwitterのダイレクトメッセージより経験談、体験談をぜひお聞かせください。

今後の活動の参考にさせていただきます。

機能不全家族とは
機能不全家族となる要因としては、家族構成員のアルコール依存、虐待(子供への暴言や威圧的態度も含まれる)、共依存などが挙げられる。更に、このような機能不全的な家庭となっている場合は、その家庭を構成する親、または祖父母などが、機能不全家族で育った可能性もある。
アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、親の自殺、親の死亡、親の浮気、両親の離婚、親の再婚、親から見捨てられる行為(ネグレクト)、精神的な児童虐待、肉体的な児童虐待、性的な児童虐待(自動性的虐待)、兄弟姉妹間での処遇格差、家庭不和、家庭内の暴力、借金などがある。

アダルトチルドレン(AC)とは
・親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人。「adult children of alcoholics」の略語(ACOA、ACA、アルコール依存者のアダルトチルドレン)。アメリカでアルコール依存症治療との関わりの中で生まれた
・親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。「adult children of dysfunctional family」(ACOD、機能不全家族のアダルトチルドレン)。機能不全家族の下で育ったことが原因で(大人になっても)深いトラウマ(外傷体験)を持つという考え方、現象、または人(大人)のこと。

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

原本のサイトはこちらです。読者の皆さんのコメントなども、ご参考になさってください。

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