Column

タバコへ逃げた依存症子

コラム

前回のブログでは、これまで書いてこなかった依存症子の出所後について書きました。

コメント、リブログしてくださる皆さん、本当にありがとうございます。皆さんのご意見を聞くことで、今後HPをどのようにしていけば良いか、こんなものがあったら良いのではないか、そういうアイディアがどんどん浮かんできます。

実現できるかは私の努力次第ですが、多くの依存症者、受刑者、そのご家族が生きやすくなる方法や、場を作れるようにしていきたいです。

とにかく料理を頑張った!

今日も前回に引き続き、出所後のことを書いて行きます。

クックパッドやクラシルという無料の料理アプリがあります。それを見て料理を作ることに少しずつ慣れてきました。目標は一汁三菜、バランスの取れた食事です。

夫は仕事の帰りが遅いので、夕食は外で食べます。私が作ればいいのは朝食だけでした。このころの私は1日2食を心掛けていました。

刑務所では夕食が4時半過ぎで就寝が9時です。この健康的な生活リズムを崩すのが嫌でした。「生活リズムが乱れる=刑務所へ戻る確率が高くなる」という考えがあったからです。

だから朝食は7時くらいにしっかり食べ、昼兼夜ご飯を4時くらいに食べる。8時半までにはお風呂に入って、9時半~10時の間には寝る。とても健康的な生活をしていたと思います。

夕方には明日の朝食の下ごしらえをします。朝は簡単に準備ができるようにしておきます。ハンバーグならタネを作って冷蔵庫で寝かせておく。

朝からハンバーグ!?重くない!?と皆さん思いましたよね(笑)。

夫が夕食を家で食べられない分、豪華な朝食にしたいという思いがありました。自分の昼兼夜ご飯に、朝食の残りを回していたのも理由の一つです。

私に無関心な夫への苛立ち

出所後はとにかく断捨離をしました。家は荷物が本当に多かったのです。

居なくなった母の部屋にも、ベッドやら仏壇やら色々置いてあります。受刑前の私がかき集めてきたガラクタ、安く購入したテレビ台、オーダーで作った革のバッグなど、とにかく捨てまくりました。

膨大なゴミを外に出そうと、冬にもかかわらず大汗をかきながら作業をしました。

今でも忘れません。出所直後はNHKの大河ドラマで「真田丸」が放送されていました。それをソファから見る夫。

私は重たいゴミを抱えて何度も家を出入りしています。ゴミ袋のカサカサする音、口を縛る音、それがうるさかったのか、夫はテレビの音量を上げます。

夫は私が断捨離と片付けしているのを知っても、全く手伝おうとしなかったんです。このとき思いました。

「この人には私が何をしているかなんて、全く興味ねぇんだな……」と。

「てめぇのケツはてめぇで拭けよ」と思う夫とのすれ違い

夫は人付き合いが得意ではありません。自分の意見を心に秘めて決して表に出さない人間です。

今では私が重たいものを持っていれば「持つよ」と言ってくれますし、このマンションに引っ越ししてからは、ゴミ出しは夫がやってくれています。そんな夫と、改めて過去を振り返ります。

「あのとき何でゴミ捨て手伝ってくれなかったの?超重たいゴミ運んでるの分かってたよね?私に対して全く無関心に見えたんだけど」と聞きました。

「何で俺が手伝わなきゃいけないの?あれは受刑前の症子が、自分へのご褒美に買ってくれって俺に散々ねだって買ってあげたバッグ。俺からしたら見たくもないモノ。その片付けは症子がやるべきであって、俺が手伝うものではない。自分の片付けは自分でやるんだよ。」

これ、私はちゃんと伝えて欲しかったんです。一言でいい、「俺は手伝わないよ」と。

でもあの頃の夫は「そんなの当然症子は分かっているだろう」と解釈していました。だから言葉は悪いけど、私のゴミ捨てを見て見ぬふり、“シカト”したんですよね。

言わなくても分かれよ!なんて絶対ムリ

夫は言葉足らず&察しろよタイプ。
私は言ってくれなきゃ分からないタイプ。

出所直後はこのギャップに相当苦しみました。夫の中ではすでに一人納得、一人解決されているのです。だから口を出さない、思っていることを言わない。

老夫婦のご主人が「あれ取って」と言うと、奥様には「あれ」が何だか分かる。

この領域に行くには相当な時間がかかるでしょうし、私が夫に「あれ」と言われてすぐに察することができるか?多分ムリです。

出所後は夫の口数の少なさにイライラしました。

・「私に何も意見してこないのは興味がねぇからだな……」と思う私。
・「反省しているなら自ら動け、何をするかは自分で考えろ!」という思いを心に秘める夫。

このすれ違いがどんどんストレスになっていきます。

タバコ……くらいいっか!

頑張って作った朝ごはん。食べている間は会話がない。夫は朝のニュースに釘付けで顔をこちらに向けない。

何てつまらない食卓だろう……。こんなに一生懸命作ったのに。何の感想もなくただ食べる夫。

つまんない。

出所したらもっと会話が増えると思っていた。

なんでこんなに頑なに、一人で納得して一人で解決するんだろう。そこに私と言う存在は必要ないんじゃない?

夫を会社へ送り出し、食材の買い出しに行きます。帰りに寄ったコンビニで、タバコに目が行きました。

受刑中は、休憩から戻った刑務官のタバコの臭いが本当に嫌でした。刑務官の制服の柔軟剤の香りさえ、臭く感じました。

「クールブースト、1箱ください」

家に帰って久しぶりに吸うタバコ。始めはむせて、咳も出ました。
逮捕直前のタバコの本数、1日3箱。チェーンスモーカーもいいところです。

そんなチェーンスモーカーが、刑務所に行くことでやっとタバコを止められたのに……。

私は夫に隠れて、タバコを吸うようになります。

隠しごともストレスになる

夫を朝送り出したあと、ベランダでタバコを吸うようになります。

夫が忘れ物で突然戻ってきたら一発アウト。なので洗濯機を回したり、食器を洗ったり、ある程度の家事を終わらせてからタバコを吸います。

美味しい……

隠し事をすると、いつバレるかも知れないという恐怖に襲われます。

夫とのコミュニケーションが上手く取れず、タバコを吸うことで紛らわせていたはずのストレス。それ以上に、「タバコがバレたら……」という方が私のストレスになっていきました。

バレずに吸い始めて3ヶ月ほど経ったでしょうか。段々油断し始めます。

夫が家から出て5分ほどで、すぐベランダに出るようになりました。そんな日が1か月くらい続いたと思います。

いつものようにベランダでタバコを吸っていたら、家の中に夫の顔がありました。

隠れてタバコを吸う私を見て、それはもう落胆したような、呆れた顔をしていました。

次回へ続きます。

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

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