Column

タバコへ逃げた依存症子 #2

コラム

前回のブログでは、出所後の私に無関心で、会話も少ない夫へのストレスでタバコを吸い始めたこと、吸い始めて4ヶ月ほどで夫にバレてしまったと書きました。

今日はまず告知をさせてください

日本産業カウンセラー協会が、自殺予防週間に「働く人の電話相談室」を開催するそうです。

2021年9月10日(金)・11日(土)・12日(日) 10:00~22:00、全国どこからでも無料です。

日本産業カウンセラー協会とは、いま私が産業カウンセラー養成講座を学んでいる所です。もしお悩みの方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひ利用してみてください。

産業カウンセラー協会の回し者のように見えるかも知れませんが、これを宣伝したからと言って私にメリットがあるわけではないことを付け加えておきます。(笑)

受刑直前は1日3箱、マナーも何もあったもんじゃない

前回のブログのコメントにも書きましたが、夫も私も元々喫煙者です。夫は1日10本程度しか吸わないので、服や髪がタバコ臭くなるようなことはほとんどありませんでした。

受刑前の私はかなりのチェーンスモーカーで、家の中で吸うと壁紙が汚れるから外で吸えと言われていました。

向精神薬の大量服用で頭がパッパラパーな私が、夫の意見に耳を傾けるわけがありません。新築で購入したマンションの私の部屋の壁紙は、入居して2ヶ月くらいで見事に真っ黄色となりました。

・吸ったタバコの吸い殻はそこら辺に捨てる、車の窓から投げ捨てる。
・駅のホームはとっくに禁煙になっていましたが、端に行って吸う。
・歩きタバコ、自転車に乗りながらタバコ、車の窓全開でタバコ、そして投げ捨てる。

受刑前は本当に最低な喫煙者でした。こうして文字にすると本当にクソ、人として終わっています。

刑務所は無臭の生活

刑務所での生活は「無臭の生活」と言ってもいいと思います。
外のように香水や柔軟剤などは存在しないので、匂いのするものと言えばシャンプー、石鹸、化粧水や乳液、ベビーパウダー、ニベア、歯磨き粉、食事くらいでしょうか。

受刑したことのない皆さんには、全く想像がつかないと思います。外の世界では常に色んな匂い、香りがしますよね。良い匂いも悪い匂いも含めて。

受刑生活を続けると、とても匂いに敏感になるのです。

私は内掃工場と言って、刑務所中を歩き回って掃除をする工場に居ました。
仏間に行くとお線香の香りがしたり、医務の保管室に行けば医務独特の匂いがする。これは外の世界にいたらきっと気付かないであろう、微かな匂いなんです。

先生(刑務官)が休憩から戻って「タバコ吸ってきたんだな」とか、「この柔軟剤はダウニーだ」とか、とにかく匂いに敏感になりすぎてしまうのです。

因みに依存症子は、受刑前から柔軟剤のダウニーの匂いが苦手でした。

その匂いが先生の制服から香ってきたとき、急に頭が痛くなってしまったんです。

これがきっかけかは分かりませんが、出所後にあまりにもきつい香水や柔軟剤の匂いを嗅ぐと、頭痛がするようになってしまいました。逮捕前は全然平気だったのですが、約2年の拘禁生活で化学物質に過敏になってしまったのだと思います。

タバコを咎める夫、反抗する私

刑務所で化学物質過敏症になったので、タバコの臭いは当然嫌なわけです。
歩きたばこをしている、喫煙ルールを守らない老若男女に文句を言いたくなることがしょっちゅうでした。出所後にそういう人たちを見ては「タバコ臭い!」と言っていたので、夫からすれば「ああ、症子はこのままタバコやめるのね」と思っていたようです。

前回のブログの続きに戻ります。夫にタバコを吸っているところを目撃され、もう言い逃れが出来ません。

私は正直に、あなたとの生活のこういうところに不満がある、だからタバコを吸ってストレスを発散したと正直に話をしました。夫は忘れ物を取りに家に戻っただけなので、帰ってから話を聞くということですぐに出社しました。

夫が帰ってくるまで悶々と過ごしました。もうこれでタバコは吸えないかぁ……。

でも夫は吸っている。それなのに何で私だけやめなきゃいけないんだ?そもそも夫はタバコは吸うな!なんて言ってないよな?なんで私だけ我慢をしなくちゃいけないんだ?夫が吸っているなら私も吸っていいじゃないか!!!

夫が帰って来てから話をします。「俺は症子がタバコを吸う姿は見たくない」と言いました。

は?そりゃないぜ……と思い、「女がタバコを吸う姿を見たくないってこと?」と聞きました。

ぐうの音も出ない言葉が返ってきた

「結婚生活を始めて、俺がどれだけ家で吸うなって言っても症子はタバコを吸い続けたよね。俺からすれば症子がタバコを吸う姿は、受刑前の症子と被る。だからその姿をもう見たくないんだ。」

何も言えませんでした。

これまで私が散々やらかしてきた事を、何とかして忘れようとする夫。

私がタバコを吸うことで、夫が忘れようとしている過去が甦るのです。

昔私がやらかしたことなんて思い出したくもないのに、タバコを吸う姿を見ることで、過去が鮮明によみがえってしまうのです。

私は依存症者。タバコさえそう簡単にはやめられない。

夫がタバコをやめてほしいと思う理由が分かったので、ちゃんと話し合って、お互い禁煙しようということになりました。

夫は1日10本しか吸わないのでやめるのは簡単でしょうし、本人もそんなに苦ではないと言っていました。

そう、問題は私。私は多数の依存症がクロスする依存症者。タバコをやめるのも絶対に苦労する。そう思った私は禁煙外来を受診します。

禁煙外来を受診することに夫は難色を示しました。え?また病院行くの……?と。

このころもまだ「病院=悪」、「症子が病院に行く=向精神薬を貰いに行く」と思っていたので、ちゃんと明細を見せるから行かせて欲しいとお願いをしました。

私は依存症者。自分の意志では絶対にタバコもやめられない。だから薬の力を使ってやめるしかない。そう何度も説得して、やっと許可をもらうことができました。

禁煙外来でチャンピックスを処方してもらいます。

始めのうちはチャンピックスを飲みながら吸ったりしていました。チャンピックスを飲むと吐き気がしました。それでもタバコを吸いました。おえぇぇとなっても吸いました。

気持ち悪くなるのに、気持ち悪くなるって分かっているのに吸うって、もう依存症真っただ中、末期だと感じました。

大袈裟だと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、体調が悪くなると分かっているモノに手を出すって言うのは、依存症末期の証拠なんです。

たった4ヶ月ちょっと、こんな短期間で、私は依存脳に戻ってしまったのです。

禁煙するのは本当に大変でした。超きつかった。辛かった。
吸ったりやめたりを(スリップを)繰り返し、完全に禁煙できるまで3ヶ月ほどかかりました。

今では私も夫も、禁煙歴約4年になります。

依存症者である私は、どんな対象にも油断が出来ない

この出所後の「タバコ事件」は、私の戒めでもあります。

これは以前のブログに書いた、「刑務所で〇年シャブ使わなかったんだから、出所後も大丈夫じゃね?」と勘違いしてしまう依存症者と同じです。

私の場合は「タバコ」という幸い国が認めている合法のもので、尚且つ治療法があったからまだ助かりました。

仮にチャンピックス無しでやめられましたか?いいえ、絶対に無理だったと言い切れます。

これがもし向精神薬、または覚せい剤に手を出していたら……?考えるだけでも恐ろしいです。

理性のタガが外れる前に戻ることができて、本当に良かったと思います。

今受刑されていている方、または留置場にいる方。

俺(私)出ても絶対にシャブやらないから!〇年やってないしもう大丈夫だから!
もう窃盗なんて絶対やらないから!〇年盗ってない生活してるから大丈夫!
盗撮なんてもうやるわけない!こんなに刑務所で我慢できてるんだから大丈夫!

こんなふうに思っている方がいたら、その考えは今すぐに捨ててください。

そして外に出たら、必ず依存症専門の病院へ繋がってください。

これは依存症子からのお願いです。
あなたの大切な人が笑顔でいられるように、あなたは依存症から回復し続けなくてはいけません。
自分を過信せず、必ず依存症に理解のある病院へ、パートナーの方と一緒に行っていただければと思います。

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

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