前回のブログでは、人はやらない言い訳をするのが得意だと書きました。面倒、疲れた、忙しい、いつまでもそんなことを言っているようでは絶対に前には進めない、良い結果は出ない、そんな内容です。
言葉よりも行動の方が思いが伝わるとも書きました。つい最近、実際に私が感じたことで分かりやすく説明したいと思います。
相談者さんからのお礼
同じ県内に住む相談者さんと、とあるショッピングモールでお会いしました。昼食を食べながら色々な話をしました。
内容は書けませんが、相談者さんは自身の相談内容をきちんと整理し、「○○はこう進んでいて○○になりました」、「○○は○○だけど、これは私が○○だから○○になったんだと思います」など、しっかり順序だてて報告してくださいます。
帰り際に相談者さんは、「これぜひ食べてください。最近パン作りを始めたんです」と笑顔で渡してくれました。
相談者さんはパン作りが楽しいと、笑顔で話されていました。そのお顔はとても輝いていて、ご自身の好きなこと、楽しいと思えることを見つけることが出来たんだと、私も嬉しく思いました。
私のために使ってくれた時間、想い
ここで皆さんに考えていただきたいことがあります。
このパン、相談者さんがどんな気持ちで、どんな想いで作られたと想像しますか?
パンが入っている箱を見てください。その箱に貼ってあるマスキングテープを見てください。パンの下に敷いてある、クッキングシートを見てください。
どれも「依存症子に喜んでもらおう」という想いから、これだけのアイテムを揃えて、プレゼントしてくださったと思います。
材料も含め、ラッピングを選んだ時間、パンを作った時間、それらの時間を私のために割いてくれて、実際に作ってくれたということが、どれだけ嬉しいかということなんです。
この相談者さんは、“材料を揃えて、ラッピング用の小物を購入し、パンを作る”という行動を起こして、私に感謝の意を伝えてくれたのです。
相談者さんが笑顔で前向きになる姿、その姿を見るだけで私は十分なのですが、このパンをどんな想いで作ってくれたのかと考えると、私は心がとてもあたたかくなります。
こんなに嬉しいこと、ありませんよね。
これが「言葉よりも行動の方が伝わる」ということだと思います。
手紙を書くことの大変さ
手紙、皆さん一年にどの程度書きますか?出しますか?
私は受刑者になってから頻繁に書くようになりましたが、それまでは仕事上の暑中見舞いや年賀状くらいなもので、ほとんど書いたことがありません。
手紙を書くには、気力も体力も必要です。長文になれば尚更。
外の人がどんな思いで自分に手紙を書いているのか、差し入れをしているのか、お金の工面をしているのか、時間を割いているのか、悩んでいるのか、苦しんでいるのか。
その背景の想像ができない受刑者が、多いと私は感じています。
私は刑務所で自分が手紙を書くようになって、「長文の手紙を書くってこんなに大変なんだ」ということに気が付きました。
でも受刑中の夫からの手紙に、その考えを反映できたかと言うと、また話は別なんですよね。
「何で手紙を書いてこないの!?」
「何でこんなに短いの!?」
「いつも恨みごとばっか書いて来やがって!」
「面会に一回ぐらい来てくれたっていいじゃん!」
↑こんなふうに考えていました。
勝手に犯罪を犯して、挙げ句刑務所まで行ってこんな主張や考え方をするなんて、本当に自分勝手でどうしようもないですよね。
支える側の背景を想像できない受刑者
刑務所の中と外では、流れる時間の速さが違うのです。
外で待つ人は、生きるために一生懸命仕事をし、日々の生活を送りながら、中の人に手紙を書いたり、面会に行ったりします。
それがどれだけ有難いことなのか、大変なことなのか。
「来るの当たり前だろ?」という態度の人もいます。際限なく差し入れを要求する人がいます。感謝をしない人もいます。
待ってくれている人が、どれだけの想いや覚悟で自分を待ってくれているのか、支えてくれているのか。
その背景の想像ができない人が、刑務所には多いのです。
なんで想像できないの?
これは私が実際に刑務所に居たときの話です。私は刑務所中を動き回る作業に就いていたので、1日があっという間に過ぎます。
経理係の仕事は、時間に追われながらの作業です。次々とやることが回ってくる。ですので1日が本当にあっという間に終わるんですよね。
経理以外のほとんどの受刑者は、1日が過ぎるのがとても遅いと感じます。
女子の場合は単純作業が多く、ミシンがけや達磨づくり、バリ取りやボールペン作成など、作業机に座ってひたすら作業をします。
男区も恐らく同じで、バリ取りなどの単純作業は、時間が経つのがかなり遅いでしょう。
外の世界でもそうですが、一つの場所にじっとしているのって、時間の経過がとても遅いですよね。暇なお店で働いていたりすると、まだ〇時!?ということがあるかと思います。
外の世界の上記のような仕事が、刑務所での時間の流れ方と似ていると理解していただけると、大変分かりやすいと思います。
刑務所の中は、時間の流れが非常に遅いのです。腐るほど時間が余ります。こう思っていただいた方がいいでしょう。
だから支える側が、外でどれだけ忙しくしているか、苦労しているか、実際に見ていないから推し量ることができないのです。
受刑者は刑務所の中で世間から守られているから、気付けないんですよね。
ですので、外と中の時間の流れ方の違いを教えてあげてください
時間の感じ方の違いを受刑者に説明するのは、簡単ではないと思います。
ご自身の1日の流れを教えてあげるのも、一つの方法でしょう。
このブログを差入れするのも良いと思います。
外の人が日々忙しいということを、教えてあげてください。
ちなみに依存症子の夫がどうしたかですが……
「症子に手紙を書く時間が惜しい、その時間を仕事に回す、それほど家がひっ迫している現実を知れ」
このような短文で、ハッキリと手紙に書いて来ました。とてもショックでした。
そんな中、たまに本が差し入れで送られてくると、ブックオフの値札が貼ってあったりするんですね。
その値札を見て、「忙しい中わざわざブックオフに行ってくれたんだ……」と、有難さを何倍も感じました。
短文で要点だけの手紙って、ものすごく刺さるんですよ。
長い手紙、同じ内容ばかり書かれると、「また同じこと書いてある…長げぇしうぜぇ」となります。と言うか、読む気が無くなるんですよね。
「あなたのことを待ってる」、「あなたなら必ず更生できる」、「頑張って!俺が(私が)ついてる!」なんて毎回書かれると、「うるせぇなぁ、分かってるよ!」となるのが人間です。
要点をまとめて短く伝える、これも支える側の皆さんに知っていただきたいです。
もちろん、受刑者にとって手紙はとても嬉しいものです。外の世界と中を繋ぐ、唯一の手段、希望です。
だからこそ、中の人に響くものを書いてあげて欲しい。依存症子はそう思います。
※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ「依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりました」の内容を、加筆修正して再掲載したものです。
最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

