Column

コントロール

依存症者の家族

前回のブログでは、新たな相談者さんが増えてきたので、過去記事から「依存症者の考え方」について抜粋しました。

せっかく釈放されたのに、なぜ依存症外来に行かなかったのか?行けなかったのか?

依存症を何とかしたいと思っているけれど、頭と身体が一致せず、行動に移すことが出来なかったと書きました。

今日は、依存症者や受刑者のご家族やパートナーが陥りやすい、コントロール欲求について書いて行きます。

 

依存症者の記憶は曖昧

 

私が依存症真っ只中で留置場にいたとき、面会に何度か来てくれた母と夫。

そのときの二人の顔を、私は思い出すことが出来ません。

ODしていた薬の量が半端なかったから、覚えていない。

そして不思議と、これまでの記憶の多くがすっぽ抜けています。

 

ここで、「あなたは薬だったからでしょ?うちはギャンブルだから、記憶が抜けることなんて無いわ!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

前回のブログで書きました。呼吸をするように嘘をつくのが、依存症者です。

 

・呼吸をするように嘘をついているから、何に対して嘘をついたか分からない。

・嘘に嘘を重ねているから、自分でも何が本当で何が嘘か、分からなくなっている。

・呼吸をするように嘘をついているから、言ったことと実際(現実)の整合性がない。

 

呼吸をするように嘘をつくのは、どの依存症でも同じです。アルコールでも、ギャンブルでも、薬物でも、処方薬でも、クレプトマニアでも、性犯罪でも。

この中でもアルコール、薬物、処方薬になると、記憶が飛ぶのはしょっちゅうです。他の依存症と比べて、嘘も記憶が無いことも、格段に増えると思います。

「あれ……?言っていることの辻褄が合わない……」、そのように感じながら、これを本人に言って良いものかどうか、悩まれるご家族が多いのではないかと思います。

 

依存症者本人は、家族が嘘を信じている、と思っています。

 

明らかにおかしな発言を、疑わない家族やパートナーはいませんね。

依存症者は、「自分の嘘を信じてるから、まだ依存行動ができる!」と思っています。

明らかな嘘を家族が信じている、と思っている時点で、“認知の歪み”が起きています。

先に書いたように、「明らかなこの嘘を、追及していいものか……」、「追及することで追い込んでしまうのではないか」、と悩まれるご家族のお話を、たくさん聞いてきました。

そして、「本人を問いただしても(聞いても)いいのでしょうか?」というご質問を良くいただきます。


ここで私から質問です。

あなたはその質問をすることで、依存症者やパートナーから、何を得たいのですか?

 

「安心」でしょうか?
それとも依存行為をしていない!という「言葉」でしょうか?

 

依存症が家族やパートナーに発覚した時点で、本人が依存症だと気付いているパターンは、ほぼ無いと言っていいです。

支援する側が悩みに悩み、家族の崩壊が始まったころ、ようやく当事者が「依存症という言葉」を知る。

当の本人はどこ吹く風、依存症?何それ?状態です。

何の知識もなく、依存行為に耽溺している当事者から、偽りの言葉を聞き安心を得ることで、本人の依存症が治るのでしょうか?

 

依存症は、意思が弱いからなるものではありません。

あなたの大切な家族は、好きで嘘をついているのではありません。

依存症と言う病気が、本人に嘘をつかせています。

 

依存症者の言葉に、一喜一憂しないでください。

 

「もう二度とやらない」、「これで終わりにする」、「これが最後だから」、「私を信じて」

私自身、この言葉を、母と夫に何度言ったでしょう。

何度も何度も、数えきれないほど言ったと思います。

 

言葉に対して責任を持つことなく、何の重みもなく、軽々しく。

 

私がそうだったから、あなたの大切な人も全く同じだ!とは言いません。

全く同じとは言いませんが、同じようなパターンである確率は、限りなく高いと思います。

 

依存症者の言動に、振り回されないでください。

そして、コントロールしようとしないでください。

 

あなたと依存症者は別の人間で、別の人生を歩んでいます。
だからコントロールしようとしないでください。

 

自分の大切な家族、パートナーが間違った方向へ進んで行くのを、何としても止めたいと思うのは普通のことです。

ですが、自分の足で人生を歩んでいくのは、本人です。

間違った方向へ向かい、失敗し、学ぶのも本人です。

私は、本人の学ぶ機会を、奪わないで欲しいと考えます。

 

「は?私があんたに相談しているのは、自分の大切な人が失敗しないためなんだよ!!」

 

そう思う方、いらっしゃると思います。

 

私自身、刑務所に行くことで、自分の人生を見つめ直しました。

そして、あらゆる依存症から回復しています。

人生をやり直そう、私のような人間でもでもやり直せることを証明しよう、そう思いました。

 

刑務所へ行ったから、気付けたのです。

刑務所へ行かなかったら、気付けなかったのです。

 

不自由な状況が人を変えます

 

誰も自分を助けてくれない状況に追い込まれたとき、何とかしなきゃ!と思うのです。

依存症者ではない人でも、日常生活が普通に送れている状態では、何の不自由もなく暮らしているようでは、生き方、生活を改善しよう!なんて思わないですよね。

我が家に昨年起きた出来事です。洗濯機が壊れ、少しの間コインランドリー生活をしました。

洗濯機がどれだけ有難い家電なのか、コインランドリーが意外と高いこと、洗濯機が壊れたことで学ぶことが出来ました。

不自由になって気付くこと、学ぶこと、日常生活の中でも山ほどありますね。

 

経験や学びをどう活かすかは、本人次第なのです。

 

失敗をさせないよう、ずーっと黒子のように後ろから操りますか?

ずーっと操られていた本人のその後は、一体どうなるのでしょう。

当事者をいつまで操れるでしょうか。死ぬまで?

では死んだあと、当事者はどうなるでしょう。

 

大切なのは、当事者が己の人生を切り開けるようになることです

 

これには、ご家族の団結が必要です。

それと忍耐強い愛、いわゆる「タフ・ラブ」も必要です。

支える側がおかしな支援をすると、当事者が自ら立ち上がれなくなります。

甘やすことと支援の違いを、改めて皆さんに考えていただきたいと思います。

 

自立し、自律ができ、自分の人生を切り開く力を身に着ける。

 

依存症者も、受刑者も、元受刑者も、執行猶予中の人も、引きこもりの人も、

最終的に目指す場所は、同じだと思っています。

 

進藤龍也牧師と、Twitterのスペースを開催しました!

 

 

一昨日の11時から開催しましたが、昼間にもかかわらず、多くの方に来ていただきました。

一つ一つの質問に、丁寧に、あたたかく答えてくださった進藤さんに、心から感謝いたします。

自死についても、語られています。

録音が残っています。30日間聞けるようですので、お時間のある方は↑のツイートへアクセスし、ぜひ聞いてみてください。

次は週末や夜に開催できるよう、進藤さんにお願いしてみようと思います。

 

最後に、私の大切な回復仲間について

 

回復仲間が、会社から退職勧告を受けました。

過去に覚醒剤をやっていたこと、週刊誌に取り上げられたことなど、捨てアカウントから会社に密告があったようです。

冷たいようですが、起こるべくして起こった事態だと、私は思っています。

憤っても、密告者を恨んでも、たらればを言っても、何も前に進みません。

何より、本人が物凄く前向きでいることを、文章からしっかり読み解いて欲しいと思います。

 

彼が前を向き、やるべきことをブログで明確に表明し、再就職へ意欲的であることを、みんなで応援しなくてどうする!?

私は彼の選んだ道を、想いを、尊重します。

彼の今後の活躍を、私は信じています。

 

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

 

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