Column

喉元過ぎれば

累犯

前回のブログでは私の日常と、罪友教会で聞いた田崎牧師の説教を書きました。

9月5日~6日にかけて、千葉県の館山に一泊旅行へ行ってきました。

私は温泉が大好きですが、刺青のおかげで大浴場には入れません。

 

後悔先に立たず

 

中には刺青を見逃してくれる温泉もあるかも知れませんが、見つかって追い出されるリスクを考えると、初めから部屋付き露天風呂、または貸切り露天風呂のある宿へ行った方がいいと私は思います。

刺青に嫌悪感を示す人が日本では多いですから、その方たちへの配慮も当然必要です。

過去、考えなしに刺青を入れたツケが回っています。お金がその分出ていく、行ける宿も限られる。

お金をかけて刺青を彫ったのに、入れた後はもっとお金がかかるこの腹立たしさ。

 

な~んでこんなに広範囲に彫っちゃったかなぁと、心底後悔しています。

小さいタトゥーならシールで隠れるのに……

 

 

 

このお宿では猫ととんびに餌付けをしていて、猫はとっても人懐っこかったです。

ふと後ろを振り返ると夫が猫を従えており、「モンハンかよ!!!」と思わずツッコミを入れてしまいました。(笑)

 

反省なんて簡単にはできない

 

 

私の公判中の出来事を書いていきます。

私は保釈をしてもらおうなんて考えませんでした。その理由は、夫が絶対に保釈など許さないと思ったからです。

案の定、保釈の「ほ」の字も出ず、国選弁護人に聞いても「まず許可が下りないだろう」と言われ、私の留置場生活は執行猶予前もすべて含め、トータル10ヶ月程になりました。

この間に反省をしていたかと言うと、全く出来ていませんでした。

 

保釈が認められている方たちを見ると、このあと刑務所へ行く不安を打ち消すためか、はたまた現実逃避をしているのか、お酒を飲みすぎたり、生活が不規則だったり、とてもじゃないけれど「反省している」とは言い難い方が多いなと感じます。

 

私は上から目線で、その方たちを責めているのではありません。

 

むしろ、外の世界で反省など出来るわけがないと思っています。

 

 

なんで外で反省できないの?

 

 

って思いますよね。

悪いことをして逮捕されて、せっかく保釈されたんだから、自分のために、家族のために、慎ましい生活を送るのが「普通」なんじゃないの?

そう。それが普通、当然のことだと思います。

これは支援する側、家族やパートナーの願いでもありますよね。

支援側から動かずとも、促されなくとも、自分から積極的に罪と向き合ってほしい。

保釈期間にせめて本を読んで勉強してほしい、依存症なら病院へ行ってほしい、保釈期間中は規則正しく真面目に生活してほしい、支援者はそう願います。

 

でもよく考えてみてください。
逮捕され、これから刑務所へ行く人たちは、普通じゃないから逮捕され、刑務所へ行くことになったのではないでしょうか。

 

あんた、よく人のことが言えるよね、と思った方。

私も同じなんです。

おかしな思考と認知の歪みから、留置場では反省など出来ませんでした。夫に申し訳ないな、くらいのもんです。

 

留置場で反省できなかった理由は、エアコンも暖房も入って快適、やることは特に無し(暇すぎて逆に辛いけれど)、留置場での人間関係が上手くいかなかったり喧嘩をすれば、居室を離してくれるからです。

夜中に居室越しに話をする人がいて、私はあまりのうるささでイライラし、朝の洗顔時にその人に雑巾を投げつけ、保護房に入ったことがあります。

うるさい人なんて、今の私もそうですが、社会に出たらいっぱい居ます。

うるさい!と思う度に人に雑巾を投げつけていたら、完全に頭のおかしい人ですよね。

今思えば、留置場生活を本当に舐めていました。

 

じゃあいつから反省できるようになるの?

 

 

これは難しいです。人による、って言葉で片付けるのは簡単ですが、私から皆さんにお伝えできることは、

 

本人が不自由な状況に追い込まれて、初めて反省できる場が整うと思います。

 

私は留置場では反省できませんでしたが、刑務所では反省をすることができました。

その差は何なの?と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

 

私は自分が刑務所へ行く前、こう思っていました。

「刑務所は社会的に終わった人間の来るところだ」

 

そんな場所に来てしまった自分を呪った。こんな場所に来ることになったのはお前のせいだと、母を散々憎んだ。

 

こんな場所に来るヤツと私を一緒にしないで!私は字だって書ける。店を任されたことだってある。作業も誰よりもテキパキこなす。

私はあんたらとは違うんだよ!!!そう思っていました。

でも、夫からの一通の手紙が、私に雷を落としました。

 

俺からしたら、殺人でも強盗でも詐欺でも薬物でも窃盗でも、
静香が刑務所に居ることに変わりはない。

 

 

は?

私が殺人者と同じってこと!?

私はこの中でも優秀な方なんだよ!何も知らないくせに!

 

ふざけんなよ。

 

あいつらよりまだマシだっつーの。

 

……………

 

…………あれ…?

…………………………

 

私、刑務所に、いる。

 

 

このように、私が反省や自省のできる場所が刑務所だった。

これが外だったら?絶対に無理だったと断言できます。

あの場所が私を成長させてくれました。

 

 

犯罪とは無縁な人から見ると?

 

 

重大事犯だろうが、軽犯罪だろうが、刑務所に居ることに変わりはない。

夫からすれば窃盗の私も、殺人犯も、横領も、放火も、性犯罪も、ひき逃げも、詐欺も、薬物も、み~んな犯罪者なことに変わりはない。

事の重みに差はあれど、犯罪者、前科者なのです。

 

これを中の人はなかなか気付けない。
どこかで「自分はアイツよりはマシ」と思う。

 

中には刑務所に行くことで箔が付く、何度も懲役に行くことがカッコいいと思っている人も一定数います。そういう人たちのことは横に置いておきます。

 

受刑中、過去を振り返らず、人の粗探しをしているようでは…

 

 

更生など出来ないと、私は思っています。

そりゃあ人間ですから、気の合わない受刑者も居るでしょう。腹の立つ受刑者も、ズルをする受刑者も居るでしょう。

 

でもそういう人、社会に出たらもっとたくさん居ると思いませんか?

 

意地の悪い人、いつも不平不満ばかり言う人、悪口三昧の人、いい恰好をする人、見栄を張る人、嘘をつく人、そんな人は刑務所以上に社会山ほど居ます。

 

刑務所は小さな社会です。

 

刑務所で人間関係を円滑に出来るよう訓練する。「ああ、こういうヤツ刑務所でたくさん見たわ」と、社会に戻って経験を活かす。

なぜ服役しているのか?

懲役を科されているとともに、社会に戻るあらゆる訓練をする場でもあると、私は思っています。

 

規則正しい生活をし、3食きちんとバランスよく食事を摂り、働き、眠る。刑務所で徹底的に叩き込まれます。

 

これが社会に戻ったらどうなるでしょう?刑務所のように簡単にはいきません。

誰が3食ご飯を作りますか?罰が与えられない社会で、規則正しい生活をし、寝坊せずに起きる、早く寝る

 

社会生活の中で、自分を律することが出来ますか?

 

 

喉元過ぎればなんとやら。

 

 

出所してから生活リズムが崩れる、煙草を吸い始める、お酒を飲み始める、だらしなくなる、あるあるです。

刑務所で一生懸命頑張ったはずなのに、その気持ちがどこかへ消えてしまう、あるいは付き合う人によって悪い方向へ流されてしまいます。

 

出所直後は、本当に本当に大切なのです。

それ以上に、受刑中の支援は、もっともっと大切なのです。

 

自分という木を刑務所で育てて、何ものにも流されない自分を作ってもらう。

 

これらは全て、出所後の新たなスタートを見据えた支援です。

 

出所後の社会生活が上手くいくように支援する。それが本人のためです。

刑務所での生活が良くなるように支援しても、出所後に活きなければ意味がないですよね。

 

 

私も喉元過ぎて熱さを忘れました

 

 

出所してから1ヶ月を経過したころでしょうか。喉元過ぎて熱さを忘れました。

 

・ちょっとくらいいいじゃん!
・こんなに頑張ったんだから(服役したんだから)労ってよ!
・煙草も違法じゃないし、ましてや納税してるんだからいいじゃん!
・こんなに変わった自分を褒めてよ!

 

夫と何度も喧嘩をしました。呆れ顔を何度もされました。

ショックでした。

こんなに努力しているのに、昔の私と比べれば、物凄い成長しているのに。なんで分かってくれないんだよ!

 

支援する側は散々傷付き、散々迷惑を掛けさせられ、後始末をさせられています。

 

だから、本人が超頑張ったとしても、褒める気になんて、これっぽっちもなれないのですよ。

むしろ、些細なことから過去を思い出し、悲しみ、怒り、苦しみ、憎しみが沸いてくるのです。

 

因みに夫の私に対する気持ちや原動力は、怒りと憎しみから来るものだそうです。

 

上記のことを、受刑中の方には知っておいてもらった方がいいかと思います。

 

『私は(俺は)あなたと、昔のように笑い合えないかも知れない。あなたがこれまでしでかした事と、失ったものがとても大きいからです。

 

出所後は、怒りや憎しみをあなたにぶつけるかも知れません。自分も極力寄り添えるようにするけれど、あなたが更生した証を、諦めずにずっと示し続けてもらいたいです。』

 

私が待ち人の立場だったら、出所前にこんなふうに伝えます。

 

 

私がこのような内容のブログを書く意味

 

 

元受刑者の皆さん

 

皆さんに、二度と刑務所へ戻ってほしくないからです。

あなたが服役したことで、どれだけの人を泣かせましたか?後始末をさせましたか?傷付けましたか?

どれだけ辛くても、相手に認めてもらうには、時間をかけた努力と忍耐が必要だと思います。

 

支援する側のご家族、パートナーの皆さん

仮にあなたが受刑者を甘やかし過ぎたり、言われるがままだったり、ただ時が過ぎるのを待っていたとしましょう。

その行為は出所後、あなたも相手も沈みゆく泥船へ一緒に乗る事だと、気付いてほしいからです。

あなたの幸せを一番に考えてほしいと、私は思います。

 

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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