Column

咀嚼(そしゃく)、実行、模索、人生はこの繰り返し

機能不全家族

前回のブログでは、過敏性腸症候群の症状が良くなってきていると書きました。

今日は1年前に書いたブログを引用しながら、感じたこと、変化したことを書いていきます。

刺青が入っていても周囲を不快にせず、自宅で出来る仕事

 

昔からの読者さんにはしつこい!と言われそうですが、私は全身に刺青が入っています。両腕とお腹、胸は無事。右肩の少し下まで入っているので、夏場にノースリーブは着れません。

スーパー銭湯にも当然行けません。温泉宿へ行く際は部屋付き露天、または家族風呂がある宿に行くようにしています。

出所した私は、全身に刺青が入っていても働ける職場を探します。

 

皆さんのご想像通り、ある訳がない。

 

元受刑者でこれといった特技ナシ、学歴もナシ、資格もナシ。

ナシが幾つも揃う私は自己嫌悪に陥りながらも、とにかく足掻きました。

 

仕方がない、雇って貰える所が無いなら自分で起業しちゃえ!そう思いました。

薬物や向精神薬の影響がある中、おぼろげに思い出したのは、高校生の時にネイルチップを作ったこと。

そっか、家で出来る仕事なら着替えなくてもいいし誰に刺青を見られることも無い。自宅でネイルサロンをやろう!

 

こう考えたのがネイルスクールへ通うきっかけとなりました。今考えれば勢いと思い付きで安易ではありますが、この勢いが私の長所でもあり、原動力になる部分です。

 

すぐに行動を起こし、ネイルスクールの資料を片っ端から取り寄せます。

そんな中で一番早く資料が到着したのが、ローズネイルスクールでした。

 

私はこのスクールでネイルに起業、アロマ、九星気学、人生の目標を見つける方法などを学ぶことになります。

 

スクールの生徒さんは、若くて一生懸命でした

 

私に良い影響を与えてくれた一つに、スクールに通うたくさんの生徒さんたちの姿があります。

私の娘と言ってもおかしくないような20代の子たちと一緒に、授業を受けます。

ネイリストになるという夢を持つ若い子たち。この子たちと同じ年齢のとき、私は一体何をしていたのだろう……。薬物、夜の仕事、金にまみれた欲の世界、ギャンブル。

 

今のこの子たちはなんて綺麗で、輝いているんだろうと思いました。

それと同時に、激しい自己嫌悪に陥りました。

 

私はどうせ元受刑者。間違った道を進んだ。どう足掻いてもこの子たちのように綺麗には生きられない。過去には戻れない。

キラキラした彼女たちを見ると、劣等感が襲ってきます。どうして真面目に生きなかったんだろう。勉強をしてこなかったんだろう。

 

そんなことを考えても、後の祭り。覆水盆に返らずです。

 

出来ないなら、出来るように訓練する

 

それまでの人生、「出来ないなら初めから挑戦せずに諦める」という方法を取って来ました。

これは言い訳です。やったことが無いんだから出来なくて当然。どうやって出来るようになるかは、私の努力次第です。

今躓いている産業カウンセラーの筆記試験もそうですが、私は受験勉強というものをしてこなかったため、そもそもどうやって勉強をすればいいか、方法を知りません。

知らないなら自分で片っ端から調べてやってみればいい。何度落ちようが、自分に合う勉強の方法を模索して、諦めずに挑戦する。

 

挑戦することに意味があると、私は思っています。

 

どうせ私なんて……、こんな言い訳をせず、挑戦を続けることで、皆さんの勇気や希望になればいいと私は思っています。

 

挑戦を続ければ、いつか受かる。
落ちたからって、命を取られる訳じゃない。
落ちたことで、何が悪かったか振り返る。

↑当たり前でしょそんな事!と思う方が多いかも知れませんが、当たり前のことが出来ないのが私です。

一生懸命努力する生徒さんを見て感じた劣等感。この劣等感は、合格することで必ず自信に繋がるはずだ。

・私に足りないのは成功体験なんだ!
・一発アウトの世の中だと思い込んでいる、自分への挑戦だ!
・成功体験を積むには、何かに挑戦することを続けるしかない!

ネイルスクールで見たもの、感じたものを通して、4年間でこんなふうに考えられるようになりました。

 

過去ではなく「今の私」を見てくれる人がたくさん現れました

 

多くの人と触れ合い、話をし、今の自分に出来ることをコツコツと続けて行くと、今の自分を見てくれる人が増えてきました。

「過去の湯浅さんは関係ない、今真面目ならそれでいい」、このようなお言葉をいただく機会があります。なんて有難いことでしょう。

 

ここで「増えてきました」という表現を使いましたが、その理由は残念ながら、いかに自分が努力をしても、元受刑者という肩書きで私を判断する人も一定数存在するという事実があるからです。

私が元受刑者だと知って離れて行った人たちにも、色々な理由があるでしょう。

離れた理由をしつこく問い詰めたり、関係を修復しようなんて思いません。それでも今を私見て!としつこくするのは単なるエゴであり、我儘です。

離れて行った人たちを追いかけることに労力を使うより、今の自分を見てくれる人たちの意見をしっかり聞こう。寄り添おう。そんなふうに思います。

今の自分を見てくれる人たちを大切にしていれば、自ずとやるべきことは見えてくると感じています。

 

今の自分を見てくれる人なんて居ない!そう思う方もいらっしゃるでしょう。

本当に居ませんか?
見えていないだけではありませんか?
見ようとしていないだけではありませんか?

 

深く考え、もし見てくれる人が居ないのならば、行動を起こしましょう。
過去をしっかり腹落ちさせれば、その経験を未来に、人のために活かすことが出来ると思います。

過去をしっかり腹落ちさせること。これが元受刑者や依存症者にとって、最も大切なことではないでしょうか。

 

傷付いた過去も、傷付けた過去も、幼少期の環境も、身体と心の痛みも、全て咀嚼したあとに新たなステージが見えてくると思います。

 

今の私も、まだまだ過去を咀嚼中です。

 

実行しながら模索するを一生続けます

 

湯浅さんは目標があってすごいですね、意志が強いですね、YouTubeやネット記事のコメントで凹まないんですか?

こんなふうに言われることも最近は増えてきました。

いやいや、生理前はイライラするし、一日中ゴロゴロする日もあるし、旦那と月一回は大喧嘩するし、ショックなことが書いてあればそりゃ凹むわよ!!!(笑)
色々なことがあって、喧嘩して、怒鳴って、泣いて、人の意見に耳を傾けて、落ち着いて考えて、今後に活かす。

私の出所後の人生、これの繰り返しです。

 

失敗しない人なんていません。

失敗を指摘してくれる、苦言を呈する存在が大切です。

 

受刑前は苦言を呈する人を徹底的に遠ざけていましたが、今は真逆です。

真摯に受け止め、その時点では理解が出来なくても、考えることを諦めずに答えを見つけていきたいと思います。

 

 

コインパーキングで隣の車の料金を「払わせていただきました!」

 

この失敗、やったことのある人いますか?

 

急いでいたので駐車番号を見ずに支払ってしまいました。

せっかちだからだと夫からは冷ややかな目をされましたが、間違えたことはしっかり反省します。

お隣の車と運転手さんに、幸あれ!!(笑)

 

にのみやさをりさんの個展

 

 

にのみやさをりさんの個展、「Sの肖像」が明日15日まで開かれています。

上司から私は性的被害を被った。以降、私の二十代は、呆気なく世界に対して閉じられてしまった。性被害によってPTSDと解離性障害を被った私は、自分の二十代・三十代の記憶をほぼ、失っている。」

「性被害やPTSD、そして解離性障害を被ったことで二十代の記憶をほぼ失ってしまったような私だからこそ、彼らのきらきらを、彼らのぐしゃぐしゃを、大事に掬い上げられるじゃなかろうか」

「二十代の群像~Sの肖像」より抜粋

 

10年間撮り続けた青年の姿が、そこにあります。

コーヒーや生パスタ、カレーが美味しくいただける、代々木のお洒落な喫茶店で開催されています。

 

罪友教会17周年記念礼拝

 

 

初めて進藤さんの教会へ伺ったのは1年前です。時が過ぎるのはあっという間で、今こんなに親しくさせていただいているのが夢のようです。

立川拘置所で進藤さんの講話を聞いてから6年。あの講話を聞いていなければ、今の私は存在しません。

私は進藤さんの背中をひたすら追い続ける。それが最大の恩返しだと思っています。

 

回復が認められる喜び

 

これまで4回の受刑歴があるれおさん。この間、息子さんとの微笑ましい出来事をツイートされていました。

 

依存症者もそのご家族も、お互いに回復するとはこういうことです。

れおさん本人からコメントをいただきました。
「まだまだ胸を張れる程ではないけど、あの頃…お互いの顔を見るのも怖かった頃に比べたら、何て穏やかに笑えるんだって嬉しくなります。」

コツコツ回復と更生を続ける。見ている人はちゃんと見ています。

何年も、何十年もかかるかも知れない。でも回復と更生を続ける。

この地道な努力が、新たな信用の土台を作ると思います。

 

歯は大切!

 

2年前のツイートを掘り起こしました。

歯は大事だよ!って話なのですが、昔話をします。

夜職時代、私が18歳~22歳のころの話です。

時代の流れを誰よりも早く読むことに長け、次々と商売を成功させた社長を、私はとても尊敬していました。そんな社長にママを任命されたときは、本当に本当に嬉しかったです。

社長は前歯が所々ありませんでした。抜けている歯の間にタバコを挟んで吸うのが彼のスタイル。

イケイケだったので多方面にお店を出店します。やがて経営は立ち行かなくなり、横浜の有名店の暖簾分けということもあり、本家に経営権は移ります。

「お前たちを絶対に悪いようにはしない」、その言葉を幹部たちに残し、最後に彼は飛びました。(居なくなりました。)

店を任されていた私は、古株を追い出すために利用されていたことを知り、裏切られた思いでいっぱいになりました。

この出来事以来、“ある程度の地位や権力を持っているにも関わらず、歯が無い人は信用しない”のが、私の中でセオリーとなっています。

 

今はこの社長へ感謝こそすれど、恨みの気持ちは一切ありません。若くしてあんな経験はなかなか出来ないと思っているから。

夜職のせいで知らなくてもいい世界を知ってしまったけれど、それが無かったら今の私も存在しません。依存症になっても受刑者になっても、結果感謝です。

この社長が破産者マップに載っているのを見つけましたが、元気にしているかな……。

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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