Column

罪名が殺人でも教育が行われない刑務所

ギャンブル依存症

前回のブログでは刑務所はこれといった更生のアドバイスをしてくれないこと、刑務所は自省をする場所だということを書きました。

刑務所は自省をする場所にコメントを多くいただきました。皆さんありがとうございます。
いただいたコメントの「その人に合った回復方法を、依存症患者が見つけていくしかない。多くの方のブログを読むというのも回復のヒントになっています。」というご意見から、私が思ったことを書いていきます。

回復しなきゃいけないのはあんたなのに、何で私がヒントを探すんだよ!

回復のヒントを得るために色々な人のブログを読む、本を読む、実体験を聞く。こうして文字にすると「なんだ、そんなことか」と思う方もいらっしゃるかも知れません。

依存症者も、依存症者のご家族も、日々の生活の中で実際に行動に起こすのはなかなか大変です。

本を買うお金、本を探す時間、ブログを探す手間暇、実体験を聞く場を探す労力。

依存症者は、まず上記のような事柄に目も頭も絶対に向きません。ですので始めのうちはご家族が犠牲を払うことになります。時間もお金も労力も。

中には自分が依存症だと気付いて、すぐ行動に起こせる依存症者もいるかも知れませんが、そういう方はごく稀な気がします。最悪の状態を免れている方と言いますか、途中で踏みとどまれた方ですね。

「何かを探す」という行為は非常に面倒だし時間がかかります。特に依存症者のご家族の場合は、こんな考えになるのではないかと思います。

自分のためではなく、なぜ依存症者のために時間もお金も労力も割かなくちゃいけないの?
自分は何も悪いことはしてないのに、何でこんなことしなくちゃいけないの?

馬鹿馬鹿しく感じたり、それまで落ち着いていたご家族の怒りが、再度湧き上がってきたりするものだと思います。

コメントをいただいた刑務所の教育について

今日は刑務所の教育について書いていきます。あくまでも私の受刑中、2015年から2016年に、立川拘置所と栃木刑務所で受けた教育です。現在は変わっている可能性があることを付け加えさせていただきます。

刑務所では殺人を犯しても命の大切さは教えない

これはかなり昔のブログ刑務所の矯正プログラムに書いたのですが、殺人を犯した受刑者にこれといった教育はされていません。

なぜそれを知ったのかですが、釈放前の静思寮という場所で罪名が殺人の受刑者と一緒になり、彼女から直接話を聞いたからです。

何となくのイメージですが、命を奪われたご家族はどう思うと思いますか?とか、あなたはこれからどう生きていこうと考えていますか?とか、そういう教育をしているんだろうなと勝手に思っていたので、何もなかったと聞いたときには本当にびっくりしました。

刑期が終われば殺人犯も出所です。反省していなくても、人を殺めたことを何とも思っていなくても出所できます。

因みに私が静思寮で一緒だった殺人の受刑者は、とても反省していたというと上から目線になってしまいますが、なぜ自分がそんなことをしてしまったのか、しっかり過去を振り返っていました。

だから刑務所側も仮釈放を許したのだと思います。

薬物事犯の場合は「薬物依存離脱指導」がある

とても長ったらしい名前ですが、薬物関係で受刑している場合は「薬物依存離脱指導」という教育が行われます。薬物をやめられないのは、「薬物依存症」という病気、完治しない病気だということを教えてもらえます。

ですが自助グループのように、言いっぱなし・聞きっぱなしのミーティングなどはやりません。

刑務所側から一方的に、あなたは依存症です、やめたくてもやめられない病気です、出所したら病院行きましょうね、と教えられるだけです。

薬物の受刑者が教えられた通りに依存症の病院に行くなら、薬物の累犯は減るはずですよね。

刑務所では「強制的に薬物をやめさせられている」状態です。そうすると薬物依存症の受刑者はどういう思考になると皆さんは思いますか?

これだけシャブ使わずに生活できるんだから、出所しても大丈夫じゃね??

昨年書いた「母」と「女」の葛藤で、Aさんのことを書きました。このAさんは覚せい剤で累犯、刑務所へ来るのは2回目です。

息子が一人、小学校低学年のM君は、Aさんのお父さんが面倒を見ていました。お父さんはご高齢で、金銭的にもM君の面倒を見るのが厳しく、児童相談所に預けることになりました。

Aさんは出所後、M君を引き取るためにしっかり定職に就き、一緒に生活するための家を用意する必要がありました。

児相は母親が出所したからといって、「お帰りなさい、どうぞお子さんお返しします」というわけにはいかないのです。特に薬物の場合は。

Aさんは自分が薬物依存症だと分かっていました。もちろん薬物依存症離脱指導も受けていました。

でも精神保健センターに行くことも面倒くさがった。薬物依存症者の支援をしてくれるセンターも途中で投げ出しました。

Aさんに「この2年半シャブ使わなかったから、私もう依存症治ったんじゃね?」という大きな勘違いが生まれたのです。

薬物依存離脱指導を受けているにもかかわらず……です。

窃盗、放火の場合は?

私は窃盗で初めての受刑です。その窃盗を犯した理由は、向精神薬の大量服用でよく分からない行動を繰り返し、物を盗むスリルを味わいたかったからです。

これは立派な処方薬依存、窃盗症(クレプトマニア)です。クレプトマニアを回復させるには、処方薬依存をなんとかしなきゃいけない。処方薬依存の根っこには薬物依存症がある。

私のように多数の依存症を併発している場合は、根本を断ち切らないと回復できません。ですが栃木刑務所では依存症の「い」の字も出てきませんでした。

私は窃盗で初犯、だからクレプトマニア扱いをされず、刑務所側からはただの窃盗犯だと思われたのかも知れません。

何度も窃盗で刑務所に舞い戻ってくる人には、あなたはクレプトマニアと言う依存症ですよ、と教えてもらえます。

放火がやめられないのも立派な依存症です。ピロマニアと呼んだりします。若い男性に多いと言われていて、消火活動を見ることに興奮したり、中には放火をすることで性的興奮を覚える人もいます。

何度も放火で刑務所に舞い戻るようなら、依存症だと教えてくれるかも知れません。残念ながら私の周りには放火で服役した人が居ないので、詳しいことは分かりません。

受刑者の帰住地にある自助グループ、依存症専門の病院を刑務所は教えてあげるべき

これをなぜ刑務所でやってくれないのか。私は本当に疑問です。

刑務所でただダラダラと時間を過ごすのではなく、積極的に依存症の回復プログラムをやった方が間違いなく再犯は減ると思います。

今の法務省、刑務所は、「刑期が終わればハイさようなら」じゃないですが、その後のケアは一切しません。(仮釈放中は面談があるので、保護司とある程度の話はします。)

依存症の人に依存症専門の病院を紹介するだけでも、再犯は減らせるのではないでしょうか。出所後に自助グループへ行くように促したり、具体的な場所、名称を教えてあげたり。

そういうことをこれからしていかないと、刑務所での教育を見直さないと、Aさんのような勘違いが起こり、元受刑者はあっという間に刑務所へ舞い戻ると私は思います。

今日は前回の刑務所は自省をする場所のコメントから、ブログを書かせていただきました。

皆さんからのコメントはとても励みになります。本当にどうもありがとうございます。

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

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