Column

誘惑に負け続ける依存症子

コラム

前回のブログでは、相談者の和美さんと初めてお会いして、たくさんお話をさせていただいたと書きました。

息子さんと共依存の関係にある和美さんについて、書かせていただいたブログはこちらです

このブログを読んでくださる依存症者のご家族、受刑者のご家族は、和美さんの経験してきたことがご自身と重なったり、気付き、ヒントを得られるかも知れません。皆さんにぜひ読んでいただきたい記事です。

出所後に吸い始めてしまったタバコを、禁煙外来で苦しい思いをしながら何とか禁煙しました。今日はその後のことを書いて行きます。

 

欲しいものを夫に言えない私

一日の生活費は1,000円。初めのころは必死に頑張りました。デジタルチラシを見て安い所へ買いに行く。肉、魚、野菜の相場感も何となく分かってきました。

服、バッグ、アクセサリーはほとんど売られているので、自分の好みではない服を着て買い物に行きます。留置場で2年前に仕方なく購入した、下着と靴下を身につけて。

留置場では(拘置所も刑務所もですが)、自分の持ち物に油性ペンで番号を書きます。洗濯を繰り返し使い続けていれば、その番号もいずれ色褪せてきます。

そんな下着と靴下を身につけ、買い物に行く私。超みじめでした。

買えばいいじゃん、皆さんそう思うかも知れませんが、夫に「靴下とパンツ買ってもいい?」とお願いをするのが嫌だったんです。

嫌と言うか、言いにくい。言えない。

散々借金を作り、受刑者にまでなって、出所してすぐ「○○欲しいんだけど……」とは言えなかったんです。それがどれだけ安い物でも。

 

物が欲しいなんてどの面下げて言うんだ?無言の圧力

夫と一緒に当時を振り返りました。

夫は私が何も欲しがらないことに対し、「症子なりに我慢しているんだな」、と思ったそうです。

それと同時に、「買うなんて言わせねぇよ?」じゃありませんが、物を欲しがらないのが当然の反省と報いで、何をねだられたとしても買うつもりはなかったと言います。

季節は冬です。寒い。あれだけあったはずのコートが一枚も無いことも、なかなか受け入れられませんでした。

たくさんあったはずのブランド物のコート、私の大好きな洋服。それが一つも残っていないことに改めて絶望と、自分がやってきたことの現実がのしかかってきます。

恐る恐る、「コートが一枚もなくて、ユニクロで構わないから一枚欲しいんだけど……」、顔色を窺いながら聞いてみます。

ここでユニクロと言ったのは、ファストファッションのコートなら安いから、夫がYESと言ってくれる確率が上がると思ったからです。

私なりに小狡い計算をしたと言いますか、とにかくこれから寒くなるから、何としてもコートは欲しかった。

夫、嫌な顔をしてしばしの沈黙から 「………いくらするの?」

私、おどおどしながら 「種類によるから分からないけど、大体1万円くらいかな……」

夫、少し考えて 「……1枚も無いなら、仕方ないね」

こうしてコートの購入を承諾してもらった私ですが、定価で購入するのは申し訳ないという罪悪感がありました。

あと、「少しでも安く購入する気持ちがある」ことを夫に分かってもらうために、定価13,800円のダウンコートを、セールで9,800円になってから購入したのを良く覚えています。

今思えば、夫に対して過剰にへりくだる必要は無かったのですが、出所後はものすごく自己肯定感が低くなっていたので、必要のない罪悪感を感じたり、自分を貶めるようなことをしたのだと思います。

 

依存症者や元受刑者は家族からの信用はゼロ

夫の私に対するお金の信用度は0でした。この信頼を回復するまでどれくらいかかったか……。

と言っても、今でも100%の信用はされていないと思います。100%の信用はしていないけど、無茶なことはしないだろう、くらいの信用回復です。

ここで過去に金遣いが荒かったり、家族を裏切って来た元受刑者・依存症者の苦悩、葛藤が出てきます。酷い場合は家族との軋轢が生まれます。

元受刑者、依存症者は「これだけ頑張ってるんだから少しは信じてほしい」と思います。

これは夫が良く言っていました。

犯罪を犯して刑務所へ行ったのは症子なのに、借金を作ったのも症子なのに、症子が被害者ぶるんだよな。

私は加害者です。加害者なのに被害者ぶるって、おかしな話ですよね。

家族は「散々迷惑を掛けられたんだから、そのくらいのことは我慢して当然、やって当然」と思います。

ですが、当の本人は卑屈になっています。家族に負い目を感じています。

過去にやらかした自分のことを恨んで、わざと痛めつけているのではないか?あえて苦しみを味合わせているんじゃないか?そんなふうに感じてしまうのです。

これも何度も書いていますが、依存症者・受刑者とそのご家族の埋まらない溝はここで、ご家族側から見るとこの思考が、「加害者なのに被害者ぶりやがって!」という怒りになります。

 

そうだ!!報奨金残ってるじゃん!

前回のブログでは、禁煙外来に通ってやっとタバコがやめられたと書きましたが、タバコをやめてストレスもなくなったかと言うと、そんなことはありません。

タバコの次に私が求めたストレス発散は、スマホのゲームでした。

本当にこうして文字にするとどうしようもないですね。タバコで懲りているはずなのに、次はスマホゲームを始めてしまいます。

ゲームは受刑前に散々課金してもう懲りている。夫からはゲーム課金について相当怒られた。だから課金をせずに適度に楽しむぞ!そう思っていました。

が、そうはいかないのが依存症者です。依存症者が「適度に嗜む」、「適度に楽しむ」なんて無理なんです。

始めのうちは課金せず適度に楽しむことができても、同じチームの人がガチャでレアなカードを引いたりしているのを見ると、自分も欲しい!と思ってしまいます。

私は刑務作業で得た作業報奨金で、ゲームに課金します。

 

特別遵守事項は「就職活動を行い、又は仕事をすること」

刑務所とは無縁の生活を送る皆さん、これは仮釈放の際に、受刑者が必ず渡される「遵守事項通知書」と言います。

この遵守事項を守らなかったら、仮釈放を取り消して、再度収監しますよというものです。

この遵守事項ですが、1~4は皆同じことが書いてあります。真ん中から少し上に「特別遵守事項」と書いてありますね。

依存症子の場合は「1 就職活動を行い、又は仕事をすること。」と書いてあります。

この特別遵守事項は、受刑者によって書いてあることが違います。因みに殺人で服役していたHさんの特別遵守事項は私よりも項目が多く、「被害者の家族に一切接触しないこと」と書いてあったと記憶しています。

少し話は逸れますが、殺人で服役していた受刑者が出所するとき、被害者のご家族に連絡が行くそうです。加害者がもうすぐ出所します、というお知らせです。これが殺人だけに適用されているのかは分かりません。

遵守事項通りに行動するなら、私は職探しをして仕事をしなくてはいけません。

ですが夫は私が働くことに反対と言うか、私が外に出ることに良いイメージを持っていませんでした。

次回のブログでは、その理由を書いて行きます。

依存症子の名刺が出来上がりました。いっちょ前にカウンセラーを名乗らせていただいております。モザイクがかかっている名前の部分は、もちろん本名です。

産業カウンセラー養成講座も、残すところあと5回となりました。

私は馴れ馴れしく図々しいので、参加者の方の連絡先を片っ端から聞いています。(笑)

皆さんがワクチンを打ち終わり、コロナが収束へ向かえば、全員で食事会でも企画できればいいなと考えています。

人との距離が離れても、心の距離は縮めていく。これを心掛けていきたいですね。

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

こちらの元記事には、娘さんと共依存のお母様のコメントがあります。
依存症者、受刑者のご家族の方、この元記事のコメント欄から、何か気付いていただければと思います。

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