Column

あなたが居なくなっても

コラム

前回のブログは最近の自分に起きている出来事を書きました。

今日のブログは待ち人さんに向けて厳しいことを書いていきます。

元受刑者の方は、自分が受刑していた頃を想像しながら読んでいただければと思います。

次週のブログはお休みさせていただきます。

 

受刑生活を快適に過ごしてもらいたい、は間違いです

 

一言で待ち人さんと言っても様々な立場の人が居ます。

息子、娘が服役している
夫、妻が服役している
彼氏、彼女が服役している
友人が服役している

どの立場の方にも共通して言えることとして、今の季節ならばこんなふうに考える方がいらっしゃると思います。

「刑務所は寒くて辛いだろうな……せめて暖かい下着やカイロを買うお金を差入れしてあげよう」

「刑務所には娯楽が無いしつまらないだろうから、漫画や雑誌を差し入れてあげよう」

この心配と配慮、本当に必要でしょうか?

罪を犯した代償として刑務所で刑の執行が行われているのです。

受刑生活を快適に過ごすことが目的ではなく、償うことが目的ですよね?

あなたの大切な人は生活保護の方より良い生活はできません。国民とあなたの税金で、あなたの大切な人は刑務所で生活をしているのです。

辛いのは当たり前なんです。あなたの大切な人はそれだけのことをしでかしたのだから。

エアコンがガンガン効いている快適な場所で、自分の過去を顧みたり反省など絶対に出来ないと湯浅は断言します。

 

不自由な環境に居る今だから

 

不自由な環境に居るからこそ、深く己を見つめ直すことが出来るのです。

せめてこのくらいしてあげなきゃ……と思う待ち人さんが多いですが、そのような心配は無用だと思います。

そんなことを考える暇があるなら、あなたが何をすれば大切な人が「社会復帰できるのか」を真剣に考えてください。

不自由な環境に居る今しか出来ないことがあるのです。前向きに更生できるかできないかの瀬戸際であり、ピンチはチャンスに変化します。

そのきっかけやチャンスを、どうか奪わないでください。

 

私はあなたのために尽くして、健気に待っているの

 

・こんなに彼(彼女)に尽くしている私(俺)、頑張ってる
・健気に彼(彼女)の帰りを待っている
・私(俺)が居ないとあの人は生きて行けない
このように思っている待ち人さんが多いのですが、はっきり言ってエゴです。

出所後にあなたの大切な人が一人で生きて行けるよう、自立と自律ができるような支援をしてください。

あなたの大切な人は、あなたの存在や自己肯定感を安定させる「道具」ではありません。

あなたが「してあげた」ことや「やってあげた」ことが、大切な人の他責志向や我儘を助長させることもあると知ってください。

「私こんなに耐えているの、頑張っているの」と悲劇のヒロインになる前に、大切な人がどうすれば更生できるか、一生懸命考えてください。

 

自分のために行動をする

 

大切な人が依存症だったとして、あなたが依存症者の家族会に行くのはとても素晴らしい行動です。それが「自分のため」であるならば。
大切な人のために家族会に行っても何の意味もありません。

依存症にはスリップはつきものです。出所後に大切な人がスリップをしたと仮定しましょう。

「あなたの受刑中、私は自分の時間を削って家族会に行ったのに何でスリップするのよ!」と必ずなります。

こうなってしまう理由は、自分のためではなく大切な人のために家族会に参加したからです。

大切な人がスリップをしても「自分は自分」、「パートナーはパートナー」という考え方を養う場が家族会です。

大切な人のために行くのではなく、自分のために家族会に行くのです。

このあたりを履き違えている待ち人さんも多いと思います。

家族会に足繁く通う自分はいじらしい……。そんなふうに少しでも思うのであれば、今すぐ待ち人をやめた方がお互いのためだと思います。

 

出所はゴールではなく、スタートです

 

これも何回もブログに書いているので古い読者の方は見飽きていると思うのですが、大切なことなので何度でも書きます。

出所は社会復帰のスタートです。

刑務所の食事は栄養バランスが取れたものを炊場が作り、衛生係が毎日3食配膳してくれて、食べ終わったら衛生係が食器を回収し炊場が洗ってくれて、自分が着た作業着は洗濯係が洗濯してくれて、ゴミは内掃工場が回収してくれますが、出所後はそれらを全て自分でやらねばならないのですよ?

刑務所で社会と同レベルの医療は受けられずお風呂に毎日入れませんが、規則正しい生活をさせてもらえます。

報奨金が安いのは問題ですが、類が上がればお菓子やジュースを買えます。
受刑中に甘やかしてどうするんです?

ましてやその甘やかしが本人の為ではなく、自分の存在をアピールしたり寂しさを紛らわすものであれば、受刑者にとっては社会復帰の妨げにしかなりません。

 

勘違いしないでいただきたいのですが、私は「支援をするな」とは一言も言っていません。

あなたの大切な人の出所から1年後、5年後、8年後、15年後を見据えた支援をしていただきたいのです。

待ち人さんがブレずに一本筋の通った支援をすることで、大切な人は必ず良い方向へ変化します。

ブレブレな待ち人さんの大切な人は同じようにブレブレです。社会に戻って犯罪を犯さないまでも、人に迷惑を掛けるだろうなという人をたくさん見てきました。

甘やかすのは簡単なんです。誰にでもできる。
誰だって人から嫌われたくないです。
厳しいことを好き好んで言う人は居ません。

大切な人を更生させたい、きちんと社会復帰させたいと思うならば、大切な人にとって何が最善なのかをじっくり考えてください。

今あなたが『その支援』をすることで、『将来どんな影響が出る』のかを考えてみてください。
そうすればあなたの大切な人にとって『何が最善の支援』で、『自分が何をやるべき』か自ずと見えてくると思います。

 

元気で無事に受刑生活を終えて早く出て来てくれればそれでいいという方や、この道でこれからも食って行くという方は突き進めば良いと思います。そのような生き方を否定するつもりはありません。

 

今日のブログは厳しい内容ですが、大切な人に必ず更生してもらいたいという「覚悟」を持つ待ち人さんに向けて書きました。

 

人は必ずやり直せます。何歳になっても遅いなんてことはありません。

 

 

※この記事は碧の森運営者、依存症子のブログ依存症子 好き放題を続けていたら受刑者になりましたの内容を、加筆修正して再掲載したものです。

最近は多くの方からコメントをいただきます。碧の森のHPをご覧の皆さん、こちらの元記事のアメブロのコメント欄もぜひ参考になさってください。

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